フェイスブックの株価は、なぜ高騰したのか “弱み”だったはずの「モバイル広告」が急拡大

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マネタイゼーションアナリティックス担当のブラッド・スモールウッド副社長。フェイスブック入社以前はヤフーでディスプレイ広告を担当するゼネラルマネージャーだった

「モバイル向け、パソコン向けなど、デバイスごとに広告商品を切り分けている会社もあるが、われわれは同一のフォーマットで対応している。クライアントにとっても、1つの広告で一貫性を持ってマーケティングを行うことができるのはメリットだ」と米国本社で広告の効果計測を行うメジャメント&インサイト・グループの責任者を務めるブラッド・スモールウッド氏(マネタイゼーションアナリティックス バイスプレジデント)は、その特性を説明する。

広告効果の科学的測定にも力点を置いている。米国には7000万人の登録ユーザーのクレジットカード購買履歴を蓄積しているデータロジックスという会社がある。この会社の購買履歴とフェイスブックの広告表示履歴を掛け合わせて分析することで、広告を見た人が実際にどのくらい購入したかが分かる。そのデータを広告主にフィードバックすることで、よりよい広告戦略を探れるというわけだ。

「多くのネット企業は、どれだけ広告をクリックするか、というCTR(クリック・スルー・レート)にフォーカスしてきた。しかしクリックする1%の人ではなく、クリックをしなかった99%の人も広告を見ている。洗剤を売る会社であればどれだけの数の洗剤が売れたのか、自動車メーカーであればどれだけ新車が売れたのか、ということが大切なのであってクリック数を競っているわけではない。われわれは最終売り上げまで検証するアプローチを取っている。それこそが広告主の望んでいることだからだ」(スモールウッド氏)。つまり、フェイスブックが重視しているのはCTRではなく、もっとも根本的な指標といえるROAS(リターン・オン・アドバタイジング・スペンド=広告費用対効果)なのである。

科学的に広告を計測

ROASをしっかり計測し、それを広告主にフィードバックすることが、スモールウッド氏のミッションだ。「ある大きな消費財会社とは50以上のキャンペーンをやってきたが、そのうち70%以上のキャンペーンについてはROASが通常の広告よりも3倍だった。中でも49%のキャンペーンはROASが5倍だった。このようにROASを知ることができるのは、データロジックスの購買データと組み合わせて分析しているからだ」(スモールウッド氏)。

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