投資家が日本株買いをためらう「4つの理由」 日本株を「枕」に2018年を迎えても大丈夫か

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個人投資家の株売却でたまった余剰資金はあちこちにある。また、目立って報道されてはいないが、「ビットコイン金持ち」もあちこちにいるはずだ。実は、筆者の友人も以前ビットコイン決済イベントの付き合いで少量を持ち、電化製品決済に使った残高の端数をそのままにしていたが、忘れていた端数分を先日見たら、なんと数十万円になっていて驚愕したという。

株を枕に年越し、掉尾の一振に期待

個人投資家の証券口座には13兆円を超す資金がそのまま残っているが、出金していないので、市場からの退出の意思はない。18日は大幅高となったが、個人投資家は何を待っているのか。

① テクニカルで言えば、日経平均の25日移動平均は万全な下値支持線として機能するとは思っていないようだが、75日線(2万1400円台)まで下がれば買おう、と思っているのだろうか。

② 日経平均構成銘柄の利益水準と株価を見た場合の、PER(株価収益率)15倍台は高いと思うのだろうか。日経平均の推定EPS(1株益) 1520円を基に計算すれば、14倍は2万1280円、13倍は1万9760円だ。2万円割れを待っているのだろうか。

③ 史上最高値の米国株が怖いのか。確かに減税法案が一件落着することで「いったん材料出尽くしの売り」となる可能性もある。しかし、これは実は、下げたらより一層、買えなくなるという側面もある。

④ 中国経済が不安なのか。中国の資金は確かに国外に逃げ出そうとしている。しかしこれは日本株にとっては「第2のオイルマネー」として作用する可能性もあり、日本株需給にとってはポジティブと見るファンドもあるくらいだ。

いよいよ今年の残りは、19日も含めて9営業日だけになった。最後の5日間の、日経ジャスダックの過去23年間の高安は21勝2敗、東証第2部は20年間で19勝1敗、マザーズは14年間で12勝2敗(岡三証券)となっている。圧倒的な確率で中小型株の年末高が見える。先週の4連続安も、この掉尾の一振と言える最後の5日間のための調整ではなかったか。そして今週はその助走になるのではないか。

もちろん、木曜日の日銀金融政策決定会合が、FOMCやECB同様、予想通りの結果と、22日にも予定される減税法案へのドナルド・トランプ大統領のサインなどが条件になる。だが、基本は場と見て今週の日経平均予想レンジは2万2500~2万3100円とする。

日本の上場企業の今下期の収益は上期ほどではないものの、増益が続く。また、来期も8~9%の増益が続く予想(野村証券・大和証券など)だ。早ければ年明けに再び計画の上方修正ラッシュもありうる。さらに株価上昇で自己株買いの勢いが止まったため、総配当性向(自己株買いと配当での株主還元率)を意識する企業の増配ラッシュも考えられる。久々に「株を枕に年越し」でいいのではないか。年末にかけて、花を添える掉尾の一振に期待する。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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