これが鉄道の原点!今乗れる「客車列車」10選 SL列車以外で乗れる客車をピックアップ

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5)わたらせ渓谷鐵道のトロッコ列車(群馬県)

トロッコわたらせ渓谷号。トロッコ車両は元京王電鉄の電車だ(筆者撮影)

1998年から「トロッコわたらせ渓谷号」として、元JR東日本のDE10形ディーゼル機関車が4両の客車を牽引している。ただし、厳密に言うと、両端の車両は元国鉄の12系客車であるが、中間の2両は京王電鉄の5000系電車(初代)を大改造してトロッコ車両としたものなので、元は電車である。

人気列車となったので、2012年には「トロッコわっしー号」が誕生し、トロッコ列車は1日最大3往復できるようになった。しかし、「わっしー号」は、ディーゼルカーであり機関車を必要としない。将来、車両の老朽化が進めば、現行の客車列車は、わっしー号同様、ディーゼルカーに置き換わると思われる。

深山幽谷を行く客車列車

6)黒部峡谷鉄道のトロッコ列車(富山県)

線路幅762mmという特殊狭軌の鉄道で、観光用なので冬季は運休となる。公式の愛称は「トロッコ電車」であるけれど、実質は重連の電気機関車が牽引する客車列車である。客車には普通客車、特別客車、リラックス客車の3種類があり、目的や同行者など状況に応じて使い分けることができる。値段が異なるのは言うまでもない。

立山・黒部観光の目玉ではあるが、施設の老朽化が進み、来年度から料金を値上げする。値上げについて利用者に理解を求める旨告知を行ったのは異例のことであるが、維持費がかさむのは承知しているので、納得の上、乗車して応援したい。

7)大井川鐡道井川線(静岡県)

SL運転で有名な大井川本線の終点・千頭(せんず)からさらに山深いところを走り、井川に達する秘境的路線。愛称は「南アルプスあぷとライン」。一部を除いて非電化なので、ディーゼル機関車が牽引する客車列車である。ただし、終点で機回し(機関車の付け替え)を行わず、運転台付きの客車(制御客車)を先頭にしたプッシュプル運転を行っている。したがって、つねに千頭側に機関車が連結されている。

途中の一部区間(アプトいちしろ駅―長島ダム駅)は、ダムの建設によって水没することになったため、1990年に新線に切り替えられた。その際、新線は勾配が90‰(パーミル:1000mあたり90m上る)に達するため、線路の間にラックレールがあるアプト式を採用した。わが国では、1963年に信越本線の碓氷峠越えの区間が廃止になって以来の復活だった。この区間のみ電化されており、ディーゼル機関車の後ろに専用の電気機関車が連結される。

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