「ビットコイン=夢の通貨」は日本人の幻想だ 犯罪や規制の抜け穴として使われている

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中島:その論文をシステムに落とし込んで運用しているのがビットコインです。2009年1月に最初のコインが発行され、それ以来発行され続けています。

木本:もう9年も経っているんですね。

海外では「クリプト・カレンシー」が一般的

中島 真志(なかじま まさし)/1958年生まれ。1981年ー橋大学法学部卒業。同年日本銀行入行。調查統計局、金融研究所、国際局、金融機構局、国際決済銀行(BIS)などを経て、2017年10月現在、麗澤大学経済学部教授。博士(経済学)。単著に『外為決済とCLS銀行』『SWIFTのすべて』『入門 企業金融論』、共著に『決済システムのすべて』『証券決済システムのすべて』『金融読本』など。決済分野を代表する有識者として、金融庁や全銀ネットの審議会等にも数多く参加。最新刊『アフター・ビットコイン』(新潮社)がベストセラーに(撮影:尾形文繁)

中島:ビットコインへの認識が広まったのは、ここ2~3年のことではないでしょうか。「バーチャル・カレンシー」、つまり仮想の通貨であり、インターネットを通じてやり取りされるので、紙幣やコインといった物理的な存在はありません。高度な暗号技術によって、複製や二重使用を防いでいます。

木本:「仮想通貨」の仮想という言葉で、何かいかがわしいイメージを持ってしまいます。

中島:海外では「クリプト・カレンシー」、つまり<暗号通貨>と呼ばれることが多いですね。私が感じるのは、日本においては、とてもよいイメージのものとして広まっていますが、海外ではもっとイメージが悪い。あとで詳しく話しますが、日本では「夢の通貨」としての美しいイメージが先行しすぎている気がします。

木本:ビットコインの特徴はなんでしょう。

中島:特徴の1つは、中央に管理者がいないこと。プログラムがいろんな仕組みをコントロールしているので、真ん中に偉い管理者がいて全体を制御しているわけではないんです。

木本:誰のものでもないっていうことですね。

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