キャノーラ油は脳にダメージを与えかねない 米テンプル大学が衝撃的な研究結果を発表

拡大
縮小
他の脳の病気とも関連しているのか、今後、研究が進むだろう(写真:groovy / PIXTA)
安価でヘルシーなイメージで人気のキャノーラ油が脳に悪影響を与えるという研究結果が出た。

日々の料理に欠かせないキャノーラ油について、衝撃的な研究結果が発表された。米テンプル大学の研究グループがアルツハイマー病のマウスにキャノーラ油を与えたところ、学習能力と記憶力が低下し、体重増加を招くことが判明した。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら

英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」電子版に12日7日に掲載された論文は、私たちにとってごく身近な食用油であるキャノーラ油が、脳にどれほどのダメージを与えかねないかについて、新事実を明らかにしている。

「キャノーラ油は他の植物油より安価で、ヘルシーだと宣伝されているため、消費者に人気がある」と、研究グループを率いたテンプル大学ドメニコ・プラティコ教授は言う。「だが、キャノーラ油がヘルシーと主張する根拠は薄弱で、とりわけ脳に与える影響を調査した研究はほとんどない」。プラティコは、同大ルイス・カッツ医学部にあるアルツハイマー病センターの責任者だ。

プラティコの研究グループは、アルツハイマー病になるよう遺伝子操作されたマウスを実験に使用。生後6カ月の段階(認知症は未発症)で、通常の食餌をする対照群と、キャノーラ油小さじ2杯分を毎日摂取する実験群という2つのグループに分けた。

学習能力が低下した

生後1年を経過した時点で、2つのグループの間に決定的な違いが生まれた。キャノーラ油を摂取したマウスは、そうでないマウスより体重が重かったのだ。研究グループはさらに、短期記憶(今日やるべきことなど、一時的に保存するだけの情報)と作業記憶(好きなケーキのレシピなど、一時的に保持した後でさらに処理する情報)を測定し、マウスの学習能力を比較した。すると、キャノーラ油を毎日摂取したマウスは、測定した3つの分野すべてで学習能力が低下していた。

次ページ脳を守る働きがあるたんぱく質が減少
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT