デジタル化時代の顧客体験のつくり方

カギは、一人ひとりの顧客と向き合うこと

顧客行動をリアルタイムで把握し、顧客体験の改善に生かすことを可能としたデジタル化。その先進事例やポイントを探るセミナー「Digital Experience Summit 2017 顧客体験から考えるデジタライゼーション」が、11月1日に東京・千代田区で開かれた。セミナーではデジタル化時代の顧客体験を握るカギとして「属性よりも状況にフォーカスしたマーケティング」の有用性と、そのツールとして「個票データ(個人ごとの行動履歴データ)」の価値がテーマとなった。
主催:ビービット
運営協力:東洋経済新報社

先進企業はいかにデジタル×顧客理解で
ビジネスを変革しているか

相澤 利彦氏/TSUNAGU・パートナーズ代表取締役

ダイエー取締役やam/pmジャパン(現ファミリーマート)社長等を歴任した相澤利彦氏より、まずは小売業界を例に、デジタライゼーションを背景にした業態間の栄枯盛衰を紹介。購買データを紐解けば、個別対応的なマーケティングに変革すべきなのは自明とし、CX(顧客体験)も個々に異なるべき時代と説いた。また、データは相関だけでなく因果を捉えることが重要とコメント。ローソンのアドバイザ時代に支援した、生鮮を購入する顧客の分析から経営戦略を構築した事例を紹介し、ビッグデータ分析は経営者こそが活用すべきもので、それによって投資判断などの経営の意思決定、戦略の構築に活用すべきと強調した。

後半は今後の顧客体験とリーダーの役割に関するディスカッションに発展。個客の髪型の違いと気象の違いに応じて日毎に異なるメッセージを出して売り上げを上げた最新のマイクロマーケティングの事例を紹介し、経営/現場リーダーは獲得できる情報を手繰るスキルを持ち、テクノロジーの進化に敏感になって、CXを常に進化させ続ける意志を持つべきと締めくくった。

デジタル体験を起点とした
顧客価値向上への挑戦

谷崎 勝教氏/三井住友 フィナンシャルグループ 取締役執行役専務

三井住友フィナンシャルグループの、グループCIO(最高情報責任者)谷崎勝教氏は、まず住友と三井のDNAは技術とマーケティングのイノベーションにあると言及。デジタライゼーションの現在はまさにこのDNAを見つめ直し、新たな挑戦をする時だと述べた。その例として、フィンテックといったテクノロジーの進化だけではなく、店舗における顧客体験も変革中であり、その一つが「GINZA SIXにオープンした新たな顧客価値を体現する店舗」と紹介。事務処理スペースをほかの拠点に移すことで顧客スペースを拡大するなど、従来の構造を一新し、開放的なラウンジや寄り添い型のブース、じっくり話せる個室などで構成した。また、デジタルを活用し伝票レスや印鑑レスを実現し、顧客との時間を創出。伝票処理や印鑑照合など長年続いた業務を変えることの苦労を尋ねられると、自ら担当者に対して変革の意義を説明したことなどを披露した。最後にデジタル化時代にあっても 「人を満足させるのは人、これは不変」と強調した。

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