「ジャスティス・リーグ」に見る米映画の潮流 ヒーロー全員集合であらゆるファン層に照準

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アクアマンはバットマンの頼みに応じ、世界を救う戦いに参加する(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

『ジャスティス・リーグ』は、これまでにない“痛快さ”も魅力だ。

先行して公開された「DCユニバース」シリーズの作品では、登場するスーパーマンやバットマンが、自らのアイデンティティを模索し、真の正義とは何かを自問する存在として描かれていた。そのため、非常にダークなトーンが映画の世界観を支配していた。

しかし、今回公開された『ジャスティス・リーグ』は、地球を破壊しようとする敵を倒すことに主眼が置かれ、物語のトーンも、非常に明るくなっている。それゆえにファミリー向けにも訴求する作品になったとも言える。

そのシフトチェンジについてプロデューサーのデボラ・スナイダーは「本作のトーンは『マン・オブ・スティール 』や『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』とはかなり違う。『スーサイド・スクワッド』のように、悪党たちがいいことをしようとするような作品はダークなトーンが向いているが、この映画はそうではないの。子どもたちにも観てもらいたいし、われわれの親にも楽しんでもらいたい。もっと幅広い、すべての皆さんを対象とするために作風を考えている」と説明する。

ストーリーを工夫し、“ダーク”なイメージを払拭

バットマンはこの作品の中で、正義のために自己を犠牲にするスーパーマンに影響を受けて、一匹おおかみだった自分とは違う役割の人間になろうと決意する(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

ローブンも「前の作品が暗かったというのは、キャラクターが抱えていた状況がそうだったから。バットマンとスーパーマンという、お気に入りのヒーローたちが死闘を繰り広げなければならなかった。それはもちろんお互いの誤解もあったわけだけど、戦いを続ける自分と、悪役との違いは何なのかと自問する。そういう状況ではどうしても暗くなってしまう。暗くしないと真実味がなくなってしまうからね」と続ける。

しかし、キャラクターを、対立構造から共通の敵をつくり、同じベクトルに上手にもっていったことで、新しい流れを生み出すことに成功した。

「今回の映画では、ブルース・ウェイン(=バットマン)が、自分は間違っていたことに気づく。正義のために自己を犠牲にするスーパーマンに影響を受けて、一匹おおかみだった自分とは違う役割の人間になろうと決意する。そこで彼は新しいヒーローを探すことを始める。ブルースが外に向かうことで映画のトーンも変わり、ユーモアが生まれていった」と説明する。

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