25歳の男が妻の不倫相手に下した凄惨な復讐

法廷で見えた夫婦間の認識と意識の微妙な差

一方で、現在の被害者への思いを問われると、被告は「今では妻の話も正確ではなかったとわかっています」と述べ、「本当に申し訳ないことをしてしまった。被害者の家族にも本来受けるべきではない精神的打撃を負わせてしまった」と謝罪した。検察側の冒頭陳述によると、男性はその後も激痛を座薬を使ってやわらげているという。

妻を「現在でも心から愛しています」

弁護人はその後の被告と妻の関係について尋ねた。

弁護人「現在、奥さんとの関係は」

被告:「毎週2回以上、面会に来てくれますし、100通を超える手紙も送ってくれた。罪を償い終わったら一緒に生きていきたいと思います」

弁護人「奥さんはどんな存在ですか」

被告:「僕の家は幼いころから両親が別居して寂しい思いをしてきた。しかし、妻と生活して、妻が家庭の温かさを教えてくれた。妻の優しい性格が大好きでした」

弁護人「それは今も変わらない?」

被告:「はい」

一方、事前に法廷で読み上げられた妻の調書には「せめて名字だけは変え、人生をリセットしたい。かつて諦めた海外の美術系の専門学校に行く夢をかなえたい」とあった。

裁判官が被告に尋ねる。

裁判官:「あなたは奥さんの調書は読んでますか」

被告:「はい」

裁判官:「奥さんの調書は『将来、海外留学したい』という内容で終わっていますが、今はどういう話になっているのですか」

被告:「『僕が罪を償ったら、一緒に暮らそう』と事件直後から言ってくれています」

裁判官:「婚姻関係を解消しようとは」

被告:「一切なっていないです」

法廷で被告は涙ながらに妻への思いをこう語った。

被告:「僕は妻のことを自分の命より大切に思っていましたし、現在でも心から愛しています」

妻は法廷に立つことはなかった。

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16年6月。検察官は「極めて残忍かつ冷酷な犯行だ」と懲役6年を求刑。法科大学院生だった被告に対し、「復讐行為は法治国家の根底を否定する行為とわかっていたはずだ」と非難した。一方の弁護側は「被害者との示談が成立している」として執行猶予付きの判決を求めた。

東京地裁は7月5日、被告に4年6カ月の実刑判決を言い渡した。判決は「妻が被害者から性的関係を強要されたとは認められず、被害者に刑を左右するような落ち度は認められない」と指摘。「被害者に回復不能の傷害を負わせた結果は重大。経緯に一定のくむべき事情はあるが、刑事責任は相当重い」とした。

*追記  被告側は判決を不服として控訴したが、
二審・東京高裁は控訴を棄却。判決は確定した。
2016年7月16日 (塩入彩)

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