25歳の男が妻の不倫相手に下した凄惨な復讐

法廷で見えた夫婦間の認識と意識の微妙な差

被告は自身の父親などにも相談し、民事訴訟や弁護士懲戒請求を検討する。一方でこのころ、枝切りバサミと包丁を購入した。

被告:「殺してやりたいと思う一方、そんなことはできないという思いもありました。とりあえず包丁を買えば落ち着くと思いました」

ハプニングによって加速した焦燥

被告はセクハラの相談センターに行くため、被害者からセクハラ行為についての言質を取ろうと決意。「台本」と題した想定問答集を作った。そして8月13日朝、被害者に会うために法律事務所に向かおうと準備していたときに、「ハプニング」が起こる。

被告:「妻が『間違って台本を被害者のパソコンに送ってしまった』と言いました。それを聞いて、すぐに被害者に会わなければと思いました」

こちらの手の内が被害者にばれてしまう――。焦った被告は妻とともに法律事務所に向かう。リュックサックにボイスレコーダーと包丁、そしてハサミを入れた。途中のコンビニで「台本」のデータもプリントアウト。虎ノ門駅で思い直して包丁はゴミ箱に捨てたが、ハサミはそのまま持っていった。

午前7時半過ぎ。事務所にはすでに被害者が出勤していた。被害者は「申し訳なかった」と謝ったが、無理やり関係を持ったという認識はなかった、と言った。

被告:「被害者は謝ってごまかそうという感じで、妻の苦痛とか、僕の絶望とか感じていないと思いました」

さらに、被害者の机にあった被害者の子どもの写真が被告の怒りの火に油を注ぐ。

被告:「被害者が自身の子どもや奥さんも裏切っていると思うと嫌悪感を感じた。こちらの痛みが全然伝わっていないと思い、せめて物理的な痛みは感じてもらおうと殴りました」

プロボクサーのライセンスを持っていた被告の拳は被害者の顔に的中し、被害者が仰向きに倒れる。被告は倒れた被害者のズボンを下ろし、局部を枝切りバサミで切断。妻に救急車を呼ぶよう告げた後、トイレに持っていき、水で流した。

被告:「妻にしたひどいことをもう二度とできないように、と思いました」

事件の一部始終は、被告が持参したボイスレコーダーに録音されていた。冒頭陳述によると、「ここどこ」と錯乱する被害者を前に、被告は「切ったんです」などと告げて、笑い声を上げたという。

法廷で読み上げられた調書によると、一緒にいた妻は「さすがにまずいと思ったが、シャキンと音がした。やっぱり切っちゃった、と思った」という。

検察官はハサミについて問いただす。

検察官:「ハサミを買う際、店員に『枝を切るハサミがほしい』と聞いたのはなぜですか」

被告:「特に理由は」

検察官:「(局部を)切断するためですか」

被告:「はい」

検察官:「なぜトイレに流したのか。切断するだけでよかったのではないですか」

被告:「再生手術とかできないようにしようと思ったんだと思います」

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