東急田園都市線「新型車」でトラブルは減るか 白が基調の新デザインでイメージ刷新

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フローリング風の床や緑色のシートが目立つ車内(撮影:山内信也)

座席は、すでに一部の車両で採用し、好評を得ているという背もたれの高いハイバック仕様。ドアや座席部分の窓上などには1両当たり計36台(中間車両の場合)のデジタルサイネージを搭載して多言語案内などを行うほか、防犯カメラも1両に2台設置した。手すりや吊り手は抗菌仕様で、空気清浄機も搭載。車いすやベビーカー利用者向けの「フリースペース」も各車両に設けている。

座れれば快適な通勤が実現しそうな新型車両だが、田園都市線といえばラッシュ時の激しい混雑で知られる路線。車両の快適性アップもいいが、少しでも混雑を緩和してほしい……という利用者は多いに違いない。

実は多少ではあるものの、2020系は従来車両に比べて定員も増えた。東急によると、2020系の定員は10両編成で1526人で、旧型の8500系より55人分多い。フリースペースの設置だけが理由ではなく「全体の座席配置などを工夫して少しずつスペースを確保した」(車両担当者)という。

最も混み合う区間では、ピーク時1時間の輸送人員が約7万4000人にものぼる同線だけに「焼け石に水」の感もあるが、「路線バス1台分増えると考えれば……」と関係者。列車の増発が困難な中、東急は電車の定期券で東急バスにも乗れるキャンペーンによって並行する路線バスの利用を促したり、オフピーク通勤を呼び掛けたりと、各種施策の積み重ねで混雑緩和を図ろうとしている。そんな中にあっては「たかが55人分、されど55人分」の貴重なスペースかもしれない。

ドアにも密かにトラブル対策

車いすやベビーカー利用者向けのフリースペースを各車両に設置。ドア(右側)は荷物引き込みなどを防ぐため表面を滑りやすくしたという(撮影:山内信也)

混雑とともに、田園都市線ユーザーを悩ませるもう1つの問題は「列車の遅れ」だ。

遅延を生む原因の1つである車両故障の対策として、新型車両は機器類の動作状況を監視し、地上に送信できるシステムを採用。「故障などが発生した場合でも初動対応を早くできる」(車両担当者)ほか、これらの情報を蓄積したビッグデータによって故障を未然に防ぐ取り組みも進めていくという。

また、地味な点ながらドアの内壁を滑りやすい仕上げとすることで、荷物などが引き込まれるトラブルを防ぐ工夫も施した。

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