3Dプリンターへの大きすぎる期待と現実 製造業以外に大きな潜在市場

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9月20日、立体物を容易に成形できる3Dプリンターが市場で話題となっている。新たな産業革命をもたらすとの期待が高まっているが、業界関係者からは過熱しすぎとの声も多い。写真はMakerBot社製の3Dプリンター。3月5日、独ハノーバーで開かれた見本市会場で撮影(2013年 ロイター/Fabrizio Bensch)

[東京 20日 ロイター] - 立体物を容易に成形できる3Dプリンターが市場で話題となっている。新たな産業革命をもたらすとの期待が高まっているが、業界関係者からは過熱しすぎとの声も多い。遅い成形時間、狭い用途など現時点では大量生産に使うには課題が多いためだ。

ただ、製造業以外にこそ大きなマーケットが潜んでいるとの指摘もある。世界的な開発競争に負けないためにも人材育成が欠かせない。

関連企業の株価は2倍、3倍に

「ジー、ジー、ジー」──8月2日から3Dプリンターの販売を開始したヤマダ電機<9831.T>のフロアで米国の3Dシステムズ 社製のパーソナル3Dプリンターが微かな音を響かせていた。プリントヘッドから出る樹脂が一層ごとに積み上げられていくのを、みな静かに見守っているが、関心の高さから、広い売り場には客足が絶えない。

株式市場でも関連銘柄が人気化している。日経平均<.N225>は5月後半から急落したが、群栄化学工業<4229.T>は5月28日の終値228円から7月11日に一時710円と3倍以上、上昇し逆行高となった。同社は鋳造用3Dプリンターの開発で経済産業省から委託を受けた企業の一つとして、期待を集めている。

海外製3Dプリンターを販売するMUTOHホールディングス<7999.T>の株価は5月下旬から8月高値まで約2倍に上昇。3Dスキャナーを展開するパルステック工業<6894.T>も同4倍と大幅高を演じている。「直近ではやや下火だが、関連銘柄は高値圏を維持している。成長戦略の一環でもある3Dプリンターは折に触れ物色されやすい」(東洋証券ストラテジストの檜和田浩昭氏)という。

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