パナソニックのアジア攻略、カギはバブル女性 東南アジアで”パナソニックビューティ”が人気

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東南アジア展開は初めから決まっていた

同社がPanasonic Beautyの東南アジア投入の検討を開始したのは、2010年末ごろ。日本で同ブランドの展開が開始される前から、いずれ東南アジアでも展開するということが決まっていた。

その背景には、それまで販売実績の内訳のボリュームソーンを占めていたドライヤーに加え、同地域にはまったく存在しなかったスチーマーのようなプレミアム商品、さらに歯ブラシなどのモビリティー商品など、これまでには世界にも存在しなかった美容家電としてのラインナップの完成がある。

東南アジアで展開されるPanasonic Beautyシリーズのスチーマー

東南アジア投入に向けて同社がまずいちばん初めに取り組んだのが、東南アジア女性のインサイトを考えるプロジェクトだった。インサイトとは、マーケティング用語で消費者に対する洞察を行うことをいう。

東南アジアで暮らす、リアルな女性像

前出の5カ国に住む中間層の女性1500人ずつ、計7500人を対象にインターネット調査を実施。その後、各国でマーケティングを担当する女性社員など計25人の女性を、同社の東南アジアにおけるヘッドクォーターがあるシンガポールに集め、1日10時間のワークショップを4日間にわたって開催。東南アジア女性の生活や美容に対する価値観などが議論された。

ワークショップで女性社員に投げかけられた主な問いは「どんな顧客にPanasonic Beautyの商品を使ってもらいたいか」ということ。この問いに答えることで、女性たちのニーズ、その表裏一体として自らが作り上げたいブランドの世界観が浮き彫りになる。

そこで明らかになった東南アジアで暮らす女性像について、Panasonic Consumer Marketing Asia Pacificのゼネラルマネジャー城田一樹氏はこう表現する。

「東南アジアの女性にとっての“成功”とは、職場では誰よりもキャリアを積み、家では子育て、自分のケアを人一倍頑張り、他人との競争に勝つこと。そして、ここが現代の日本とはまったく異なるところですが、今日成功するだけでは満足しない。サクセス“し続ける”ことが、彼女たちにとってのサクセスなのです」

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