出口治明氏「69歳で大学学長へ転身」の舞台裏

ライフネットと立命館APU、実は似ている

山田:業務委託契約の関係を長く続けるつもりだった?

出口:会社からは「2、3年助けてください」と言われていましたから、そのつもりでした。2、3年は側面からサポートするのかなと漠然とそういうふうに思っていたんです。

山田:ところが世間が許さなかった。「取締役を退いたってことは、どうですか?」というお誘いがあったのでしょうか。

出口:推挙があったのです。どなたに推挙していただいたか僕もわからないんですけれど、複数の方から推挙されてAPUの104人の候補者のリストに載ったようです。でもAPUって日本で国際化がいちばん進んでいて、先生方の中に占めるPh.Dホルダーのウェートも高い大学ですよね。当然、公募条件のハードルも高い。条件を見せていただきましたが、第1条件がドクターと。それから英語・日本語の2言語で教育、研究をやっている大学ですから、第2条件が英語ペラペラということだったので、選ばれる確率はかなり低いだろうなと正直思っていました。

だから来年の春ぐらいまで講演の依頼などを受けていましたので、今一生懸命お詫びのメールと電話をしてお断りしています。「こんなことになったのでごめんなさい」と。

APUはチャレンジをする大学

山田:なぜご自身が選ばれたと思いますか。

チャレンジする大学であるAPUにふさわしいと評価していただいたのかなと思っています(編集部撮影)

出口:選考委員会の委員長を務めた今村正治副学長が記者会見で話をしましたが、APUはチャレンジをする大学だと。日本の大学には、学長を外から持ってくるという発想はなかった。そこにチャレンジしたわけです。しかもこの選考委員会がダイバーシティにあふれている。あとから聞いたのですが、委員長が副学長(理事)で、先生5人、職員代表2人、卒業生2人が選考委員会を構成していました。しかも、この10人のうち4人が外国人です。大企業の指名報酬委員会でもこんなダイバーシティはないですよね。

僕は還暦ベンチャーでいろんなことにチャレンジしてきた。そのことをチャレンジする大学であるAPUにふさわしいと評価していただいたのかなと思っています。オープンで、ダイバーシティあふれたプロセスってすごく示唆に富んでいると思いますし、そうしたプロセスの中で選ばれた責任も重いし、頑張らなきゃいけないな、と思っています。

山田:あらためてAPUをどのように評価していますか。

出口:この大学はグローバルの面では日本でいちばん進んでいる大学の1つです。たとえばAACSB(Association to Advance Collegiate Schools of Business)という国際的なビジネススクールの認証がありますが、認証を受けたのは日本で3校目です。それから、教員の半分が外国人で、学生の51.4%は外国の方です。しかも89の国と地域から来られている。しかも講義のほとんどを英語と日本語の2言語でやっている。

そういう意味では先生方も学生も研究も、国際化という点で最先端を進んでいると大学だと思います。その結果、世界の大学ランキング評価の中でも国際性(「国外からの教員比率」「留学生比率」)の点では満点をとっていて、これはアジアに8大学しかない。日本では唯一です。その一方で、地元にも密着していて、大分県や別府市のサポートも受けている。まさに「グローカル」を具現するような大学だと思うんですよね。

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