「12月は日本株が上昇しやすい」は本当なのか 年末にかけて上昇しそうな「意外な株」とは?

拡大
縮小

以下は12月25日以降の「星取り表」である。曜日の関係もあり、勝敗の日数は一致しないが、傾向をみていただきたい。

~年末の日経平均株価の勝敗と上昇確率~
12/25 35勝18敗(上昇確率66%)
12/26 40勝15敗(同73%)
12/27 31勝23敗(同57%)
12/28 39勝15敗(同72%)
12/29 13勝7敗(同65%)
12/30 10勝10敗(同50%)

ご覧のように、確かに12月26日や28日は勝率70%超となっている。だが、12月30日(この日はもれなく大納会)の勝率は、まちまちだ。

外国人投資家の売りは一時的?J-REITに底入れの兆し

では、当面の相場はどうなるのか。日経平均株価がザラ場の高値2万3382円をつけたのは、11月9日だ。11月第3週(13~17日)の売買動向によると、海外勢が8週ぶりに日本株を売り越し、その額は3211億円とほぼ2カ月ぶりの大きさだった。だが、もともと11月は海外勢の売りが一時的に出やすい。今後の海外勢の売買動向に注目しておきたい。

一方、同期における個人投資家の買い越し額は2353億円。現金での買い越しは1342億円と約8カ月ぶりの大きさだった。自己株買いなどが含まれる事業法人も2週ぶりに買い越した。

引き続き、日銀による上場投資信託(ETF)の買い入れも相場下支えの主体として期待される。買い入れ額は年6兆円のうち、株価指数連動型ETFが5兆7000億円(設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業の株式を組み入れたETFが3000億円)であり、2017年の株価指数連動型ETFの買い入れ総額は5兆1000億円(12月4日時点)だ。年内まで残り枠は約9000億円と試算される。仮に海外勢のまとまった売りが出ても、ある程度は吸収できそうだ。

また、2017年初めより下落基調を続けていたREIT市場に変化の兆しがある。11月の東証REIT指数は4カ月ぶりに反発した。今春に金融庁が過度に分配金を支払う投信を指摘したことを機に毎月分配型投信の資金流出が続き、REIT市場全体を押し下げた。だが、予想分配金利回りをみると、足元は4.2%台まで上昇。長期金利が低迷するなかで、利回りの側面から投資妙味が高まっている。

投資部門別売買状況をみても、海外勢はJ-REITを2017年9~10月と2カ月連続で買い越している。海外マネーは急騰した日本株を売り越す一方、利回り妙味の高さから、J-REITに向かいつつあるのかもしれない。

2017月の日経平均株価はすでに年初来で約2割上昇しているだけに、年内の上値余地は限られる可能性がある。国内勢の下値買いは期待されるものの、海外勢の上値追いは慎重にみておくことも必要だ。その点、東証REIT指数は年初来で約1割下落しており、戻り余地がある。仮に掉尾の一振がみられるなら、今年はREIT市場の可能性が高いかもしれない。

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT