舅や姑の介護で頑張った人はお金がもらえる 義父母の最期を看取った嫁の苦労はどうなる

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寄与分とは、被相続人(亡くなった人)の商売を手伝うなどして、被相続人の財産の維持・増加に貢献した相続人には法定相続分に加えて財産がもらえる、というものです。

寄与分が認められるには条件がある

被相続人がしていた事業を無償に近い形で手伝い、財産増加に貢献したといったケースで認められるものですが、「療養看護型」といって、看護や介護をした人にも寄与分が認められることがあります。

ただし、認められるのは、付き添い看護を頼まずに済んだ、介護施設に入居せずに自宅で介護できたなど、看護や介護をしたことによって被相続人のおカネを使わずに済んだ場合などです。

私はセミナーなどで受講者の方から、「ストレスを抱えながら、自分の時間を犠牲にして介護した。本当に大変だった」といった話を伺うこともあります。その想いには私も共感しますし、報われたいと感じるのは当然のことだと思います。とはいえ、法的なルールとしては、寄与分が認められるには、条件があるのです。

たとえば、親族間には一般に扶養義務があるため、「介護のために仕事を辞めた、あるいは一定期間休んだ」という場合は、寄与分が比較的認められやすいです。

しかし、通常の扶養の範囲内で行った行為は残念ながら、寄与分とはならないのです。また寄与分を受けられるのは相続人であり、夫の父が亡くなった場合は、夫が対象となります。夫の配偶者が嫁として義父を介護してきた、という場合、嫁は法定相続人ではないので原則は対象外です。とはいえ、配偶者が寄与したとして、夫に寄与分が認められる可能性はあります。

では、具体的に、どのくらいの金額が寄与分として認められるでしょうか。これは、気になるところです。

実際の金額は、日数や日当を考慮して、決められます。あくまで一例ですが、判例では、食事の世話や排せつ介助などを含めて常時見守りを行ったケースで1日当たり8000円が寄与分とされた例や、相続財産の1割強が寄与分とされた例があるようです。
  
もちろん、相続財産が多くなければ、寄与分の額も制限されます。

次ページ寄与分を受けるには、相続人全員の同意が必要!
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