デートで「おごられたい」女性は実は少数派だ 男性の「プライド」が未婚化につながっている

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 「男がおごるべき」というソロ女の主張をまとめると、以下の3点です。

  • 1. 初デートは男がおごるのが当たり前。なぜなら、女性は化粧品や洋服など見えないところでおカネを投資しているから。
  • 2. 初デートは男としてのプレゼンテーションの場。気概を行動として見せるべき。そういう視点で考えれば、そもそも割り勘なんてありえない。
  • 3. そもそもファミレスでしかおごれない収入でデートに誘うな。カネを稼いでから来い。

まず1点目についてですが、男性からしてみれば反論したい部分もあるでしょう。化粧品はともかく、男性でも洋服くらいは買います。もちろん、男性より女性のほうが美容やオシャレにおカネがかかることは理解できますが、そもそもそうした「自分磨き」は、男性からおごられるためにやっていることではないと思うのですが……。

一方、2番目の「気概を見せろ」という部分は多くの男性は納得してしまうのではないでしょうか。まだ付き合っていない段階の初デートであればこそ、男性の本気度を可視化してほしいという彼女たちの気持ちはわかります。自ら稼いでいる彼女たちは、「おごられる」ことで男性に経済的依存をしたいというわけではありません。

最後の「カネを稼いでから来い」は、前2つとは明らかに論点が異なります。本来は「男がおごる」という行動の是非を問題にしていたはずなのに、3番目は行動評価ではなく、男性の経済力のなさを問題にしてしまっています。

「気概を見せろ」と言いつつ、実はその前に「絶対値としての経済力」という足切りラインが存在するのです。あえて言葉を選ばずに言ってしまうと「カネがない男はお断り」ということです。ここにこそ、私がこの「ソロモンの時代」でも繰り返し提示している未婚化の根本的な要因が潜んでいます。

ソロ女に多い「上方婚」志向

確かに、今回座談会に参加した女性たちは皆仕事をして自ら稼いでいます。2017年6月11日配信の「女性が直面する『稼ぐほど結婚できない』現実」でもご紹介したように、ある程度年収を稼ぎ、経済的に自立している独身女性は、結婚相手に対する条件として「自分より高い収入」という項目を重視します。いわゆる「上方婚」の価値観です。

就業構造基本調査の産業分類によると、「新聞・出版・映像制作・広告制作業」「法律事務所・会計事務所」「デザイン業・著述家」などの女性は、専門的な資格や知識を持ち、年収も高いですが、同時に生涯未婚率が高いというのが特徴です。今回の座談会メンバーは、広告やデザインなど制作業務にかかわる人が多く、まさにその層にピタリと合致するわけです。

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