子供の食べ物に過敏すぎる親に教えたい心得 砂場で遊ばせるなら動物の糞に気を付けよう

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「すり傷や切り傷の治療に、抗生物質入りの塗り薬を使ったほうがよいでしょうか?」というのもよく受ける質問です。必ずしも使う必要はありません。子どもに切り傷やひっかき傷、すり傷はつきもので、そういう傷は年がら年中できます。傷が深い、あるいは長いときや、傷口が大きく開いているとき、あるいは数分間圧迫しても出血が止まらないときには、医師による治療を受けさせましょう。

そうでなければ、必要なのは、傷口をせっけんと水で十分に洗って、土や何かの破片を取り除くことだけです(あるいはその場では清潔な水で傷口を洗っておき、せっけんが使えるようになったときにさらにしっかりと洗ってもよいでしょう)。

抗生物質入り塗り薬を繰り返し使ったからといって、子どもの皮膚のマイクロバイオータが大幅に変わるとは考えられませんが、抗生物質の不必要な使用を増やすことになり、薬剤耐性の原因になります。傷口への細菌感染を防ぐには、毎日やさしく洗って清潔に保つとともに、そこに直接触れないよう、ガーゼやばんそうこうで覆っておくとよいでしょう。

1日か2日たって、傷口が赤みを帯びて腫れてきたり、あるいは黄色や緑色の膿がしみだしてきたりした場合には、抗生物質入りの塗り薬を使うことを検討しましょう。傷口の周りの赤みが広がったり、傷口から赤い線が広がっていたり、熱が出たりした場合には、医師による治療を受けてください。幸い、切り傷やすり傷の大半では、免疫系のはたらきによって感染症が抑えられ、傷口も短期間で自然に治癒します。

落としたおしゃぶりをきれいにするには?

「地面に落ちてしまったものを、口に入れさせてもよいでしょうか?」という質問に対して、一般論としていえば、「地面に落ちたものを拾って口に入れるのは問題ありません」と答えます。とはいえ、どこに落ちたかによっても違うので、常識をはたらかせてください。

子どものおもちゃが地下鉄の床や、ショッピングセンターのトイレの床に落ちたら、まず水とせっけんで洗いましょう。しかし誰かの家の床とか、ハイキング中の地面に落ちたのであれば、目に見える土(や髪の毛)を取り除いたらすぐに子どもに返してもかまいません。

食器洗浄機とアレルギーリスクの減少の関係についての研究を行ったスウェーデンの研究チームは、最近行った別の研究で、落としたおしゃぶりをきれいにするには、まず親が口に含むのが最善の方法だということを明らかにしています。

この研究では、生後6カ月の赤ちゃんがいる184組の家族に面接調査を行いました。親たちには、自分の子どもはおしゃぶりを使っているか、使っているとしたらそれを殺菌しているか、それとも水道水で洗っているか、あるいは親が口に含んできれいにしているか、と質問しました。驚いたことに、親の口でおしゃぶりをきれいにしてもらっている65人の赤ちゃんでは、生後18カ月から36カ月の期間のアレルギー発症リスクが大幅に低いことがわかりました。

この研究は小規模なものであり、ほかの研究チームによる再現実験もまだこれからですが、子どもと口内微生物を共有することで、親は子どもの免疫系を強化し、アレルギーの発症を防いでいるようです。そういう意味では、落としたものを素早く拾い上げれば大丈夫という「5秒ルール」よりは、おしゃぶりやはがためを子どもに返す前に、母親か父親の口に入れるときの「5秒ルール」を採用する必要があるでしょう(虫歯を引き起こす微生物を子どもに渡してしまうのが気がかりかもしれませんが、それが問題になるのは、親が虫歯になりやすい場合だけで、その性質は遺伝性の可能性があります)。

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