散々虐待された三女が祖母と母に下した復讐

女子高生は絶対君主が支配する家で殺害した

二人は、祖母と母がこの世からいなくなるという妄想に会話を弾ませた。車のタイヤをいじれば事故死に見せかけられる。強盗に入られて、二人だけやられればいいのに。殺し屋を雇ってみようか――。

長女はストレスを発散するように冗談半分で話していた。だが、三女は違った。「これまでも殺すことを考えたことはあったが、一人で全部やるのは無理だと思っていた。でも、姉も同じ気持ちだと知った」

「自分とお姉ちゃんの自由のため」

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三女は事件前、友人との電話の中で、身内を殺害することを伝えた。友人から理由を問われると、「自分とお姉ちゃんの自由のため」と答えた。

そして、三女は殺害の準備を始める。二人を眠らせるための薬、強盗に見せかけるために使う手袋を手に入れるよう長女に頼んだ。

長女は「いざとなったら殺害することなんてできない。高校生ができるわけない」と思っていたが、三女は心を決めていた。「姉は『本気なの?』と聞いてきたが、計画は完全にできていた。殺すとき、殺した後のことを何度も想像した」

あの日。勤務先から帰ると、三女が裸のような姿で家にいた。風呂場には血のついた包丁が落ちていた。「聞かない方がいい」。三女は静かに言った。

逮捕前、長女は三女にひたすら謝罪の言葉を述べたという。「私が止められなかったこと、解決策が見つからず三女の生活を壊してしまったことを謝りました」

2月24日の被告人質問。

検察官:「人を殺す以外の選択肢は本当になかったんですか」

長女:「(三女が)一度、札幌に逃げたことがあったけれど、二人に見つかりました。どこに行っても追いかけてくるのが恐ろしかったです」

検察官:「殺害前、三女に『やめよう』とは言えなかったのですか」

長女:「この家族にいい思い出、家族らしい思い出がなくて、(三女がやろうとしていることが)正しいと思ってしまいました」

三女は逮捕され、今は医療少年院にいる。月に1度、二人は手紙をやりとりしている。長女は事件後、交際相手との間に子どもができた。「妹が戻ってきたら、今まで感じられなかった家族というものを感じられるよう一緒に生活したい」

裁判長は2月26日、長女に懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡した。

裁判長は姉妹の置かれた状況に同情を示し、「犯情が低い事案」としながらも、「これからやり直していくにあたって、事件を絶対に忘れないようにしてください」と説諭した。長女は涙声で「はい」と小さくうなずいた。

2016年3月5日(光墨祥吾)
*追記  検察側、被告側とも控訴せず、判決は確定した。

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