散々虐待された三女が祖母と母に下した復讐

女子高生は絶対君主が支配する家で殺害した

長女は「いざとなったら殺害することなんてできない。高校生ができるわけない」と思っていた…(写真:fujyn234 / PIXTA)
殺人など事件が起きると、警察、被害者の遺族、容疑者の知人らへの取材に奔走する新聞記者。その記者がほとんど初めて、容疑者本人を目にするのは法廷です。
傍聴席で本人の表情に目をこらし、肉声に耳を澄ましていると、事件は、当初の報道とは違う様相を帯びてきます。
自分なら一線を越えずにいられたか? 何が善で何が悪なのか? 記者が紙面の短い記事では伝えきれない思いを託して綴る、朝日新聞デジタル版連載「きょうも傍聴席にいます。」。毎回大きな反響を呼ぶ人気連載が新書『きょうも傍聴席にいます』としてまとまりました。記者が見つめた法廷の人間ドラマをお届けします。

「絶対君主」。自らそう名乗る祖母と、付き従う母。二人の10年以上続く壮絶な虐待に、女子高生は殺害を決意した。計画を打ち明けられた姉がとった行動は――。

2016年2月23日、札幌地裁806号法廷。

「二人を殺害してほしくないと思っていました。でも、彼女の願いをかなえることが自分のできることだと思いました」。黒のスーツに身を包み法廷に現れた長女(24)は証言台に立ち、裁判員の前で弁護人の被告人質問に答えた。母と祖母を殺した三女(18)を、睡眠導入剤や手袋を用意して手助けしたという殺人幇助(ほうじょ)の罪で起訴された。

祖母と母は幼いころから三女を虐待し続けてきた

「幻冬舎plus」(運営:株式会社 幻冬舎)の提供記事です

札幌市中心部から東に約25キロ。北海道南幌町の閑静な住宅街で事件は起きた。

14年10月1日午前0時半。当時高校2年生だった三女は自宅で就寝中の母(当時47)と祖母(当時71)を台所にあった包丁で刺して殺害した。二人の遺体には多数の刺し傷があった。三女は殺害後、家を荒らし、強盗による犯行に見せかけていた。

当時、姉妹は祖母と母との4人暮らしだった。両親は10年ほど前に離婚。次女は父と暮らしていた。祖母と母は幼いころから三女を虐待し続けてきた。長女は祖母に従順という理由で、虐待を受けることはほとんどなかった。

弁護人:「(三女は)祖母と母が嫌いだったのですか」

長女:「はい。祖母に暴力を振るわれ、母はそれをただ見ているだけでした」

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