横浜-桜木町「東横線」跡地整備はいつ終わる? 遊歩道になるはずが2021年まで先送り

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まず、公共事業において、一般に分かりづらいのが予算であろう。本プロジェクトの予算について尋ねてみた。横浜市都市整備局の回答は以下のとおりだ。

「総事業費は約85億円。途中、計画変更等ありましたが、この金額は、当初の見込みから変更はありません。予算の内訳として、用地取得費と工事費があり、ともに国からの補助金を50~55%程度活用しています。予算は年度ごとに必要分を要求する仕組みですが、昨今、横浜市の財政状況が厳しく、十分に予算確保できていない状況です」

「みなとみらい4号橋」は、桁下の高さが不十分だったため、かさ上げして架け替えを行ったので、段差が生じている(筆者撮影)

国の補助金は、自治体負担分(市予算)とセットなので、なかなか基本計画どおりに工事が進められないのが現実だという。

なお、現時点での用地取得と工事費用を含めての全体予算ベースの事業の進捗率は、およそ60%だという。ただし、総事業費約85億円のうち、用地取得費が35億円。工事費ベースで換算すると実質進捗率は3割程度といったところだろうか。工事自体はあまりはかどっていないというのが、数字から見て取れる。

市の財政事情も足かせに

ほかにも工事が遅延している理由がある。横浜―桜木町間の旧東横線高架がJR根岸線の高架と国道に挟まれた狭い部分に敷設されているため、工事実施にあたっての制約が多いのだ。

「桜木町駅側から、順次、工事を進めており、資材の搬入は桜木町駅西口広場に隣接する搬入口から行っています。搬入口が、駅入り口の直近にあることから、事故がないよう車両を出入りさせなければならないという制約があります。また、近くで店舗が営業していることから、営業に支障がない時間に作業を進めるなどの段取りも必要です。さらに、安全に作業を進めるため、近接するJRや国道を管理する横浜国道事務所との協議に時間を要したことも、工事に時間がかかっている理由です」(道路局)

ちなみに、横浜―桜木町間と同じ年に廃線になった東白楽―横浜地上線跡の東横フラワー緑道は順調に整備が完了したが、その理由について尋ねたところ、以下のような回答があった。

「東横フラワー緑道は、東横線の地下化事業とあわせ基本的な整備計画が確定でき、先に整備着手しました。当時はまだ十分な予算を確保できていたので、工事もスムーズに進みました。一方、現在は財政状況が好転しない中、局内を見渡すと、”エキサイトよこはま22”をはじめとする街づくりや鉄道の新線計画(東部方面線)等さまざまな事業を進めなくてはいけないので、優先順位をつけて対応せざるをえない状況です」(都市整備局)

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