「保育園に入りたい」ママとパパの切実な訴え 待機児童解消に向け当事者の声を届け続ける

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「めざす会」代表の天野妙さん

この会は、今年2月に会の名前が決まったばかりの新しいグループ。「保育園に入れるのは就労をしている人だけ。就労に関係なく、希望している人みんなに受け皿がある状態を作りたい」という思いで名付けられました。

活動しているメンバーは、都内近郊の保活を経験した有志の母親・父親たち。仕事を続けるためにやっと入れた、バスなどを乗り継いで45分かかる遠方の保育園に送迎し続けている母親、第2子が3年連続で認可保育園には入れず兄弟別園で送迎し続けた母親など、いつ終わるのかわからない保活に対して精神的な不安や負担を抱えているメンバーもいます。2017年12月現在で約10人がプロボノとして参画し、「できる人ができる範囲でできることをやる」のルールのもと、子育てや仕事の合間を縫って、思いを共有し、アイデアを出し合い、日々議論を続けています。

活動のモットーは、「怒ってもいいけど静かに怒ろう」。天野さんは、「怒りのパワーは長く続かず、課題解決にまでは至らない。怒りの気持ちを前向きにとらえて、改善に向けるようにしよう」と、会を始めるにあたって話し合ったと言います。

「めざす会」ではこれまで、自民党や民進党の待機児童対策プロジェクトチームの勉強会にも積極的に参加し自ら見聞を広げるとともに、SNSやイベント、署名活動を通して子育て当事者を含む一般の方からの声を集める活動も地道に続けてきました。集まった声は、陳情活動を通して、直接国会議員に届けています。

「話さないとわからないんだなと思った」と天野さん。当事者がどんどん入れ替わり、継続的に陳情活動を行う人がいなかった子育て政策の分野。「めざす会」の母親・父親が思いを1つに知恵を出し合い、「対話」による活動によって届け続けた声は、今や政府も避けては通れないものとなっているのです。

#子育て政策おかしくないですか

政府が働き方改革や幼児教育の無償化を柱とした、生産性革命、人づくり革命を推進しようと動いている中、そうした政策の中身について議論し、提言する自民党の「人生100年時代戦略本部」(本部長・岸田文雄政調会長)を、2017年11月27日、「めざす会」のメンバーは署名を持って訪ねました。

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