金融市場の「不穏な動き」に備える投資の知恵 次のターゲットは「債券」「為替」?それとも?

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たとえば、ドルの値動きと自国の通貨の動きを連動させている通貨としては、人民元、香港ドルがある。米ドルと併用しているコスタリカ、エルサルバドルもある。市場の歪みはいずれ修正される。

日本の株価や国債価格も、ひょっとしたら市場の「歪み」なのかもしれない。

付和雷同型の投資は破滅を招くかも

今回、日本株が大きく高騰した背景には、外国人投資家の動きが大きく関係している。外国人投資家が先物を売りながら、現物買いを続けて、10月の16連騰などを演出した。しかし、最近の売買動向を見ると、外国人が売って個人投資家が買って、参入してくるパターンになっている。

1980年代後半のバブル崩壊でもそうだったが、日本の株式市場の場合、外国人投資家が株価を押し上げ、その後付和雷同する形で個人投資家が参入。最終的に、高値をつかんだ個人投資家がはしごを外されて大損する形が多かった。

今回のパターンもそれに近づいてきている。株が上がったところを追いかけて投資していく「順張り」は、投資の王道とは言え、これで勝てる個人投資家は少ない。ライバルは、外国人投資であり、彼らは投資のプロである機関投資家だ。しかも、その大半がコンピュータによるプログラム売買を使っており、超短期間に売買を繰り返すアルゴリズム売買だ。

要するに、みんなが投資しているから自分も、といった付和雷同型の投資では勝てないということだ。そのためには、情報のアンテナを大きく広げて、情報収集することが大切。日本のメディアだけではなく、海外の投資情報メディアなどにも目を通したほうがいいだろう。

さらに、投資は乱高下するマーケットが対象であり「分散投資」が原則。長期投資に徹することで時間を分散し、株や債券、商品、為替、仮想通貨など投資対象を分散することでリスクを軽減できる。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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