北海道庁が目論む「観光列車」に足りないもの JR北海道は観光用車両を新造するべきか?

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2回目の参加者は、キャンセルが1組あったため78人での催行となった。内訳は、2人での参加が25組50人、1名での参加が28人。道外からの参加者は2割弱で、残り8割強のほとんどが札幌圏在住者だ。なかには、中国・タイ・インドネシア国籍の日本在住者もいて、アジアにおける北海道への注目度が感じられる。また、年齢は50~70代の熟年層が中心となっている。

ちなみに、1回目は道外からの参加者が3割弱と、2回目よりやや多かった。年齢層も40~60代が中心とやや若い。1回目が1泊2日で、今回は2泊3日であったことから、休みの取りやすさの違いがこの年齢層の違いに出たのであろうか。

2回目のコースは、札幌から千歳線・石勝線を経て根室本線に入り、途中、バスを使いながら、釧網本線・石北本線と回る2泊3日の旅。初日に釧路、2日目に網走での宿泊となる。

地元の歓迎は「3点セット」

「ゆるキャラ」+「横断幕」+「首長(市町村長)」の“3点セット”での出迎えの様子(筆者撮影)

その途上では、駅で乗降するたびに地元の歓迎を受けた。それらの歓迎様式は、「ゆるキャラ」+「横断幕」+「首長(市町村長)」の“3点セット”での出迎えが基本だった。ツアーの当初こそ出迎えには新鮮味があったものの、後半になるにつれ、しだいに金太郎あめを思い出す代わり映えのしない行事と感じるようになった。前週に実施された1回目のツアーの歓迎行事を知り、横並びの意識で実施したのだろうか。各地でお骨折りいただいた方々には感謝するものの、同じパターンでは効果が限られてしまう点に残念さを感じた。

そのなかで、初日の白糠(しらぬか)駅と2日目の知床斜里(しれとこしゃり)駅は、ひと味違っていた。白糠駅では「3点セット」に加えて、旬のシシャモと地酒のしそ焼酎「鍛高譚(たんたかたん)」の試飲、それに地元に伝わる白糠駒踊りの披露があった。白糠駒踊りは、鉦(かね)・笛・太鼓のにぎやかな音と踊りの激しさに度肝を抜かれた。聞くところによると、前日に予行演習までして分刻みのスケジュールになっていたという。

また、知床斜里駅のある斜里町には、友好都市である青森県弘前市の伝統行事「ねぷた」を伝授した「しれとこ斜里ねぷた」という行事がある、その伝授に至った歴史的経緯をねぷた囃子(はやし)の合間に紹介することで、地域の誇りをツアー参加者に伝えてきた。同駅ではダイヤの都合で2時間弱滞在という十分な時間があったのも理由だろうが、首長は冒頭控えめに話すだけで、その後を若者と子どもたちに託したことが功を奏したと感じている。

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