「高給子なし夫婦」ほど老後資金計画が必要だ 45歳から3600万円で生活水準は維持できる

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DINKsは、現役時代の収入水準が総じて高いと述べましたが、実は老後の年金水準も子持ち世帯と比べて高水準が期待できます。

共働きの正社員同士であれば、これは老齢基礎年金(国民年金分)と老齢厚生年金を2人分受給することになります。女性も産休や育休による離職期間がないため、男性の年金水準にかなり近い金額になることもあります。

国の示すモデル年金額水準でみると、会社員と専業主婦といった典型的な夫婦においては月額22万円程度の年金額になるところ(厚生労働省「平成29年度の年金額改定について」)、共働きの会社員夫婦であったとすれば、月額30万円程度が期待できます(厚生労働省「平成27年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 」等から推計)。

一見すると大きな違いではないように思われますが、月額8万円の差は年約100万円の収入差になります。そして、年金生活が20年以上続くことを考えれば、総受給額で考えると約2000万~2500万円くらいの違いになることもあるわけです。

年金は多いが、生活水準も高い

しかし、年金額が多くてもDINKsの老後は苦労することになるでしょう。なぜなら、生活水準が年金水準以上に高いからです。

夫婦の合計所得が1000万円レベルであったとき、毎月の家計に回す生活費が月40万~50万円を超えることもおかしくありません。しかもそれがふたりだけの生活に回しているわけですから公的年金が多めにもらえたとしても、月額30万円の年金では不足、というわけです。

子育て世帯でも月40万~50万円かかっていることはありますが、子どもの食費やおこづかい・交通費・塾や予備校などの学費に回っている分もあるので、夫婦の生活費はそれほどかかっていないことがよくあります。この場合、子どもが社会人になったあと年金生活に入っても、ある程度家計のムダを省けば同じ生活水準を維持できることが多いものです。

このようにDINKsは、何もしなければ現役時代と定年後の生活水準の落差が大きくなります。老後の「下流化」を防ぐために、DINKsはどんな対策を取っておくべきなのでしょうか。

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