未来を切り開く人事 SAP HR Connect 2017 Autumn

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パートナー講演
デジタル時代の新たなルール
働き方の大きな転換期とされる今、人事 ・ビジネスリーダーが取り組むべきテーマとは

デロイト トーマツ
コンサルティングHRトランスフォーメーション
サービス責任者
執行役員/パートナー
小野 隆

デロイト トーマツ コンサルティングの小野隆氏は、世界が、デジタル化に伴って「変革期を迎えている」と指摘。人事部門・人材活用の課題について同社が調査した「グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド2017」から、世界のトレンドと日本企業の意識、取り組みの差を中心に説明した。ビジネスをアジャイルに進めるための自立した個によるネットワーク「未来型組織」の重要度は世界でトップだが、日本では8位で、取り組みも遅れている。従業員が企業で体験する経験価値を高めるエンプロイー・エクスペリエンス(EX)の重要度も日本では低いが、会社と個人の関係が変わる中、EXで「エンゲージメントを高めることが重要になる」と述べた。また、本人への継続的なフィードバックで成果・能力を改善するパフォーマンスマネジメント、膨大な人事情報をタイムリーに扱うHRテックなどについて、導入により積極的なグローバルの動向に言及した。

特別講演2
SOMPOホールディングス
グループの人事戦略
多様性を強みとする組織への変革

SOMPOホールディングス
グループCHRO常務執行役員
笠井 聡

SOMPO HDの笠井聡氏は、海外事業拡大に向け、多様性、専門性、市場価値に焦点を当てた同社の人事戦略を説明。「従来の新卒採用・終身雇用体系、ゼネラリスト養成、社内価値重視からの大きな変換」と述べた。グローバルに人事管理を変えるため、2015年に「グローバルHRイニシアティブ」のプロジェクトを開始。国内外のグループ会社を対象に、キーポストを見える化するポストグレーディング、各国の優秀な人材の情報を一元管理して活躍の場を広げるタレントレビュー、グローバルに評価制度を統一するパフォーマンスマネジメント、海外グループ会社共通のシステム基盤にSAPサクセスファクターズ導入を同時並行で推進した。今後は「システムを活用した後継者育成計画と各種研修を通じたタレントマネジメントや、パフォーマンスマネジメントにおけるコーチングを通して人材を育成していきたい」と述べた。

グローバルで活躍できる人材の育成について、大澤氏は「本人のやる気が絶対条件。経験から内省をしてアクションにつなげられる人に、若いうちから経験、学びの機会を与え、自己変革のきっかけをつかんでもらうことが大事」と述べた。

笠井氏はMBAに派遣する人を英語力での選抜から、仕事のハイパフォーマー指名に変えたとして「リーダーの資質を持つ人に機会を与えることを意識すべき」と述べた。

パネルディスカッション
左から
SAPジャパン人事・人財ソリューション部 部長(立命館大学非常勤講師)南 和気
大澤 善行
笠井 聡
SAPジャパンバイスプレジデント人事戦略担当 アキレス 美知子

SAPのアキレス美知子VPも「1人の天才を見極めるより、素養を持った人に機会を与え、計画的に育成することが重要」と2人に同意。学びやキャリアへの意識、人を巻き込む能力の高い社員を「カタリスト」に選抜、育成する同社の「タレント・ラウンド・テーブル」の仕組みを説明した。

クロージングで南和気部長は「事業のグローバル化を支える人材についての課題認識が強まっていると感じた」と述べ、人事のグローバルトレンド、最先端テクノロジーについての紹介が「社員の個性、適性、能力をしっかり把握し、グローバル化する事業に対応できるよう、人材の育成、配置を考えるきっかけにしていただければ」と締めくくった。

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