KDDIが英会話「イーオン」を買収した深い理由 3年でM&A5000億円を目指し次々と買収

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KDDIの田中孝司社長。M&Aで非通信事業の拡大を狙っている(撮影:梅谷秀司)

通信大手のKDDIは11月22日、英会話教室大手のイーオンなどを傘下に擁するイーオンホールディングス(HD)を買収すると発表した。来年1月22日をメドにイーオンHDの全株を取得する。買収金額は非公表だが数百億円規模とみられる。

イーオンHDは251校の英会話教室「イーオン」「イーオンキッズ」のほか、85校の幼児・子ども向け英会話教室「アミティ」、5拠点の留学情報提供・手続き代行の「留学ジャーナル」などを擁する。

「教育市場に新規参入」

KDDIは「教育市場への新規参入が(今回の買収)目的」としたうえで、公立小学校での英語教科化、大学入試での英語4技能試験の導入、外国人観光客の急増などから、語学教育市場は成長市場であることが今回の買収の背景にあるとしている。買収後は、AI(人工知能)を用いたカリキュラムの最適化支援、VR(仮想現実)を駆使した英会話プログラムの開発で、シナジー創出を図る。

KDDIには約3900万(9月末時点、法人除く)の携帯通信ユーザー(以下auユーザー)、約950万(同)の固定通信ユーザーが存在する。auユーザーをイーオンの語学教室に通う際に優遇する、イーオンの生徒をKDDIの携帯通信の契約時に優遇するなどして相互送客が見込めそうだ。

KDDIの田中孝司社長は2016年に発表した中期計画で「2017年3月期〜2019年3月期の3カ年で5000億円のM&A(企業の買収・合併)を実行する」としている。9月末までに約2000億円を実行。残り3000億円を何に使うかが注目されていた。

これまでの2000億円には、今年1月に約800億円で買収したNECの元子会社でISP(インターネット・サービス・プロバイダ)大手のビッグローブ、8月に約200億円を投じたIoTベンチャー、ソラコムが含まれる。ISP大手で元富士通子会社のニフティ買収にも手を挙げたが、ニフティは家電量販大手のノジマに持って行かれた経緯がある。

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