大手ゼネコン、手元資金「1.4兆円」の向かう先 好況のうちに成長への布石を打てるか

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清水建設は女性の現場作業員、「けんせつ小町」の活躍に力を入れている(記者撮影)

「ま、下期も好調に推移する保証はありませんから……」

上期決算は絶好調なのに、通期の業績見通しは営業減益である理由を尋ねると、ある大手ゼネコン幹部は苦笑しつつ、そう答えた。

業績好調で営業CFは空前の水準に

11月中旬までに出そろった大林組、鹿島、清水建設、大成建設というスーパーゼネコン各社の2017年4〜9月期(上期)決算は軒並み好調を維持した。それでも通期業績は減益か横ばいの見込みだ。「計画未達になるのが嫌なだけ。通期はほぼ確実に上振れするだろう」(別の大手ゼネコン幹部)。

2020年の東京五輪を控え、建設需要は活況だ。建設経済研究所によれば、建設投資額は2010年度の41兆円で底を打ち、2017年度には53兆円に達する見通しだ。

ゼネコンと発注者との力関係も変わった。かつては仕事をするほど損をする「請負(うけまけ)」に泣かされたが、今は追加工事や設計変更に伴う費用も発注者が負担するようになり、各社の利益を押し上げている。

それに伴って急上昇しているのが、本業でどれだけ現金を稼ぎ出したか、という営業キャッシュフローの水準だ。

4社合計はリーマンショック後に赤字転落したが、2010年3月期以降はプラスを維持。手元現金は2017年3月末に合計で1.4兆円と空前の規模に達した。

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