「自殺願望」に縛られた幼い少女の深刻事情 「精神的につらい、どうすればいいのか」

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メルハさんのご年齢はわかりませんが、おそらく中学生前後だと思います。お母様は以前は優しかったそうですので、多分、お父様のことやその他の事情で、精神的に困難な状態になっておられるのです。メルハさんにとっては耐えがたい境遇であることはお察しいたしますが、あなたを憎んでの行動ではないことを、まず理解するよう努めてください。

そしてもしメルハさんに、緊急避難できる親戚や知り合いの家があれば、無理を言ってでも、しばらくはそこでお世話になることができるといいのですが、なければ公的機関に相談する手もあります。どれも勇気のいることですが、環境を変えるようにしましょう。自殺願望に縛られている今の状況よりは、少しでも改善されると思います。

このアドバイスは、あなたが行動に出ることで、お母様があなたの苦痛に気づき、たちまち優しいお母様に戻らなくとも、理不尽な虐待が収まるかもしれないことも、期待に入れています。あなたが宿題をするのを見届けてから寝ようとするお母様は、まだあなたが感じておられるほど病んだ人には思えず、その可能性を感じました。

あなたが死にたいと思うほどの虐待を、決して軽く見ているのではありません。最悪、お母様の状況が変わらなくとも、あなたはあと数年から最悪5~6年で、努力すれば自力で生きていける年齢になります。そこから先は、幸運をも手繰り寄せるくらいの根性と努力の見せどころです。

今は、人に迷惑をかけてもいいので、どんどん周りに相談をしてください。そのようにして大人になった人は、いくらでもいます。今よりましな環境を見つけることに、エネルギーを注いでください。そして絶対に乗り切ってください。

苦しみは期間限定、変わらない環境はない

第三者からみてもあまりにも悲惨な境遇にいたり、大きな事故に遭ったような人でも、ほとんどの人はその後も何とか、力強く生きていっておられます。その時期さえ何とか乗り切れば、人間は幸いにも、悲しいことは(普段は)薄れていくように作られていると、ある仏教者が言っていました。

深い苦しみが癒えない人でも、別の生きる意味や生きがいを見いだすようにできていると、私も思います。メルハさんの今の苦しみも、期間限定であることを忘れないでください。

2度自殺未遂した人を知っています。最初は17歳のときに、複雑な家庭環境に悩み、2度目は26歳のときに、自分の責任でないことで会社を解雇され、信頼していた人たちからも見向きもされなくなったことで、心の迷路に入ったと述懐しています。いずれもそのときは、その状況から脱出するときが来るなど、考えられなかったそうです。

両方ともその問題自体が解決したわけではありませんが、世の中は動いていました。「あのとき、乗り越えたつもりはなく、みじめな思いも沢山したのに、気がつけば、脱していた。あのとき、この世から消えなくてよかった。おかげでその後、うれしいことも幸福だと思うことも随分あった」と言います。

そういえば先日、「嵐」のコンサートかと間違うほどの数千人のファンを集めた有名流行歌手のコンサートを、テレビで見ました。彼は人気が低迷した頃、(原因は不明ですが)数回の自殺未遂をしています。つらい低迷期は10年も続いたそうです。

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