住宅の評価基準が変化する時代へ 価値の落ちない賃貸住宅づくりのポイント

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長嶋 日本では、建物の価値が25年程度でゼロになるのが当たり前ですが、このような国は先進国で、日本だけです。欧米では建物の状態について一定のコンディションが確認できるものについては市場価値を維持できるだけでなく、中には価格が上昇する例もあります。このような住宅であれば賃貸住宅であっても家賃を維持できます。

「住宅の寿命は30年」などと話す人がいますが、それは誤りと言えます。現在では、木造住宅の平均寿命は65年、マンション(RC)の寿命は120~150年という説もあります。また最近では、建物の高寿命化などにともない、新築主導を改め、ほかの先進国のように中古住宅を評価しようとする動きが出てきています。国も「現実の築年数ではなく、事実上の築年数」を見極める評価方法を導入しようとしており、18年4月から中古住宅取引の際にホームインスペクション(住宅診断)の説明が義務化されることになります。

― なるほど、長期間価値が下がりにくい賃貸住宅であれば、家賃の下落のリスクも抑えられそうです。どのような条件がありますか。

長嶋 大切なのは長期間にわたり建物のコンディションを維持することです。まずは主要構造の骨組みや土台、雨漏り防止などについて、コンディションが変わらなければ一定の価値を保つことができます。内装や床・壁・天井は一定の期間ごとにリフォームする必要がありますが、修繕をすることによりまた価値を取り戻すことができます。

ただしこれらは建てた後からしっかりやろうとしても難しいものです。イニシャルコストを抑えた結果、後々に不具合が頻発し、むしろ余計にコストがかかってしまったという例も少なくありません。建物のライフサイクルコストの観点で、品質を見極めるべきです。

特に省エネ性と耐震性にはこだわりたいところです。省エネ性が高いと、結露が起こりにくく建物が傷みません。また、住宅に求められる耐震性は今後、高くなることはあっても低くなることはありません。建築基準法に定められている最低限の耐震等級1はもちろん、その1.25倍の耐震等級2(病院や学校など)以上などが望ましいでしょう。

長期にわたる賃貸住宅経営で注意したいのが将来のリフォームのしやすさ、すなわち「可変性」です。いまは一人世帯、二人世帯など世帯数減少が進んでいます。ライフスタイルの多様化に合わせて、たとえば壁を取り払って大きな部屋にするといったリフォームも必要になっていきそうです。そのときに耐震壁や柱、梁などが取り除けないと、プランも限定されます。将来を見越して、あらかじめ耐震性が高く可変性が高い建物にしておくのも一つのポイントです。

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