就職成功の近道は大学のキャリアセンターだ 不採用の特徴から当落ラインまで情報の宝庫

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キャリアセンターの1つの特徴は、なんといっても、持っている情報量の多さです。「個別企業の情報は、ゼミやサークルの先輩から聞けばいい」と、思っている方もいるでしょう。確かに先輩からの口コミは、自身の就活経験や社会人としての実感などを聞くことができ、有意義です。しかし、それを1人の先輩の感想や意見でなく、多数の声を集積、活用しているのが、キャリアセンターなのです。

キャリアセンターでは、各卒業生が行った就活と、その結果や就職後の職場での仕事内容などを一連で把握し、記録に残しています。

さらに採用現場の生の声も得ています。キャリアセンターのスタッフは、就職実績のある企業を中心に出向き、人事担当者から直接話を聞いているのです。就職した学生のその後の状況や、当校から応募した学生のうちどういう学生が採用になり、どういう学生が不採用になったのか、その理由までヒアリングしているのです。

採用選考を受けただけの先輩たちでは、知りえない部分にまで踏み込んで情報を収集し、どういう採用基準をもっているのか、どんな水準が当落ラインなのかなど、学生からは聞きにくい突っ込んだ質問もしています。実は多くの企業が、大学を代表して訪れているキャリアセンターのスタッフに対し、そうしたことを率直に答えています。

「当落ライン」も企業から聞き出している

新たな企業開拓も含め、キャリアセンターのスタッフは、多い人で年間200~300社回っています。こうした活動を毎年行うことで、各社の求める人材や、伸ばしていきたい分野などの情報が時系列で蓄積されています。

もう1つの特徴が他大学との情報共有を盛んに行っていることです。横のつながりを通じて、キャリアセンターは、年度ごとの傾向などもいち早くキャッチしています。情報通信分野に実績の多い大学や金融に強い大学などが、それぞれの得意分野の情報を共有することで、これまで実績のなかった企業や業界の情報も補完し合っています。

さらにもう1つ、各校のキャリアセンターが強化しているのが、学内企業説明会などのイベントです。最大のメリットは、学外の一般的な企業説明会に比べて、その大学に通う学生がほしいと思っている企業が集まっている点。学生の2~3割は学内企業説明会の参加企業から内定をもらっていると言われています。説明会の席にOB・OGがリクルーターとしてついてくれる場合もあります。

企業からの参加希望も年々増えており、年間300社はザラで、多い大学では600社にも達しています。

ちなみに、1学年1000人を超える総合大学の場合、キャリアセンターには大企業、中小企業を含め、1万社ほどから求人票が届きます。1学年300人ほどの小規模校でも、4000社もの求人票があります。これだけの情報を持つキャリアセンターを、有効に活用するか知らずに過ごしてしまうかは、大きな違いです。

理系学生にとっては、キャリアセンターを縁遠く感じる方も少なくないでしょう。確かに理系の学生は、所属ゼミの紹介や教授の推薦などによる就活もあります。しかし、こうしたゼミ・教授ルートの現場も、変わってきています。

理系学部が中心のB大学の場合、学部ごとの就職担当教授とキャリアセンターが連携。一般的な全学部を対象にした就職ガイダンスのほか、理系学部の要望を反映した個別のガイダンスを学部ごとに実施しています。

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