汚染米騒動で露見したコメ流通の暗部、農水省にも批判集中


 工業用の汚染米が食品へ流入する--。コメ加工業者の三笠フーズ(大阪市)が「事故米」を不正転売していた問題は社会を揺るがす騒動へと広がっている。中小の食品メーカーのみならず、アサヒビールの芋焼酎にも混入したことが判明。食品業界を不安に陥れている。

三笠フーズは非食用途に限定された政府保管の事故米を買いあさり、危険性を認識しながら一部を加工食品向けに転売。購入量は2003年度以降だけで1779トンと、政府が売り払った7400トンのうち4分の1にも上った。「工業米を購入する業者は限られている」(総合商社)中で、目立つ存在だったようだ。

売れ残るMA米 累積差損601億円

事故米とは残留農薬の検出などで食用に適さないとされたもの。転売された事故米は「ミニマム・アクセス(MA)米」と呼ばれる輸入米の中から発生したものだった。1キログラム当たり3~12円と、50~70円する通常のものに比べて圧倒的に安い。三笠フーズはこの価格差を利用して、不正転売で利ザヤを稼いだ格好だ。今回の事故米からは、中国製冷凍ギョーザからも検出されたメタミドホスや、カビ毒アフタトキシンが検出されていた。産地偽装や消費期限改ざんといった、これまでの食品偽装とは一線を画す悪質さだ。

早い段階で不正を見抜けなかった農林水産省にも批判が集中している。現在、問題のコメの流通経路を調査中だが、コメ流通は業者間取引が多く複雑。市場に出回った商品の追跡までとなると、事態収拾には時間がかかりそうだ。

「輸入米を焼酎や日本酒、みそ、米菓に使うのは業界の常識。しかしイメージ悪化をおそれて、業界は公表を抑えてきた傾向がある」と食品メーカー関係者は吐露する。汚染米の横流しは、そうした業界の暗部につけ込んだものとも言える。

加工用米として出回るコメは年間50万トンで、うち半分をMA米が占める。MA米とは、1993年のウルグアイ・ラウンド農業合意により、日本が自由化を回避するのと引き換えに受け入れたもの。「最低義務」として年間77万トンの輸入を決めた「国際約束」だ。毎年、政府が米国などから買い付けており、その量は国内消費量837万トン(07年度)の10%弱に相当する。

MA米のうち加工用途は3割程度。残りについて農水省は持て余しているのが実情だ。海外援助に振り向けるほか、06年から飼料用への払い下げを開始。それでも07年10月末の在庫は189万トン。年間の倉庫保管料は実に180億円にも上る。輸入開始以来の累計差損は601億円に膨らんでいる。中堅食品メーカーは「コメの原産地表示を始めたら、メーカーは国産米の調達を増やす。MA米の需要はさらに減少するのでは」とささやく。


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