京阪の特別車両「プレミアムカー」の成否は? 関西でハイグレード列車は受け入れられるか

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2017年8月20日から運用を開始した特別車両「プレミアムカー」は、特急車8000系各編成の1両ずつを改造して新設された京阪電気鉄道初の座席指定特別車両。8000系は8両編成10本があり、基本的に8編成が運用につく。鴨東線開通に伴う特急車増備用として新造された車両で、今の10分間隔ダイヤでは毎時6本の特急のうち4本に限られる。日中パターンでは、淀屋橋発00・20・30・50分、出町柳発19・29・49・59分が該当する。残る2本は基本的に中之島線開業時に新造された3000系を充当することにより、クロスシート車での運用が保たれている。

車両全体は深紅となり高級感を演出する金や黒のアクセントを記したプレミアムカー(久保田敦)

乗車した瞬間の、いや、乗車前に窓からのぞき込むだけでも感じるプレミアムカーの第一印象は、「ぜいたく」。元来が転換クロスシートの8000系なので、指定席車ならばJR特急の普通車リクライニングシートを想像する人も多いかと思う。だが、プレミアムカーの座席はそのレベルではなく、もし人々に端的に理解してもらうなら(京阪がそのように表現することはなかろうが)、「最新特急列車のグリーン車クラス」と言うのがおそらく的確な表現だろう。

手にする「プレミアムカー券」、すなわち指定券は改札階の「インフォステーション」(駅事務室のカウンター等)で買い求める。券売機コーナーには口座ボタンや専用機の類はない。前売りは2週間前の午前10時から、当日は発車3分前まで。大阪市内の停車駅と京都市内の停車駅相互間、例えば淀屋橋~出町柳間や京橋~中書島間なども500円。それ以外の枚方市や樟葉といった中間までは400円。駅での購入は現金のみで、ICカード等は支払いに使えない。

三ツ星マークの座り心地、ただし窓割に注意

一方、常連ユーザー向けにはWeb購入システムが用意されており、「プレミアムカークラブ」に会員登録すれば、スマートフォンからでも予約、購入ができ、発車3分前まで列車の変更も効く。決済はクレジットカードによる引き落としで、京阪のカードではポイントも付与される。 発券された指定券はレシート状の紙片で、改札はICカードのみをタッチして入場した。

淀屋橋を静かに-その静かさの感覚は日ごろの一般席を上回る-発車すると、大阪都心部の地下線内を北浜、天満橋と立て続けに停車。中之島線と合して複々線となり大川のほとりに出ると高架線に上がって京橋へ向かう。大阪環状線と交差する京橋は、大阪の南北の大動脈、地下鉄御堂筋線と接続する淀屋橋を凌ぐターミナル駅で、京阪電鉄最大の乗降人員を数える。幅広いホームは昼間も人が多い。したがってプレミアムカーの乗客も倍増する。10人程度で発車したはずだが、しめて20人ほどになったようだ。定員は40人なので乗車率は50%だ。

あらためて踏み出すと、各駅に停車する京橋までとは一転して枚方市まで通過となり、出てすぐの左カーブの後は直線コースの複々線を一気に時速110kmまで引き上げる。

「この電車は特急、出町柳行きです。次は枚方市です。交野線はお乗り換えです。枚方市の次は樟葉に停まります」

英語で繰り返した自動放送に続いて車掌が枚方市での準急接続を案内した後、「この電車の6号車はプレミアムカーです。乗車券のほかにプレミアムカー券が必要です」との放送が加わった。

次ページ車内には京阪初のリクライニングシートがある
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