弱い地方組織の元凶、選挙制度の不均一 自民党がうまくやることを、なぜほかの政党は真似できないのか?

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政党の組織化を阻む個人重視の地方政治

自律性と国政への参加の度合いを軸にした分類を日本の政党に当てはめたとき、自民党、公明党、共産党など強い地方組織を持つ政党すべてが同じ類型に入るわけではない。

公明党・共産党は相対的に地方組織の自律性が低く、党本部の意向に逆らわないのに対して、自民党では地方組織の自律性が高く、地方政治の事情から党本部に反発することもある、という性格が強いのだ。

『政党組織の政治学』(2013年、小社刊)

ただし、3党とも地方議員が国政に参加する度合いは高い。公明党・共産党は全国的な政党のブランドで地方選挙を戦うため、国政参加を通じてブランド形成・維持に協力することが死活問題になる。

自民党は長期政権下で国政からの利益誘導を通じて地方の基盤を築いており、地方組織の強さを維持するには国政への継続的なアクセスが欠かせない。

他方で、地方組織が弱い民主党、みんなの党、日本維新の会は、地方組織の自律性が低く、国政への参加の度合いも低い集権型政党である。その特徴は、地方政治との関わりが弱く、全国で一体的な支持母体・イデオロギーもないことにある。

地方組織に求心力がなく、地方の要望を党本部に伝える機能も弱い。結果として、所属する国会議員・地方議員に党本部の決定を伝えるだけという地方組織も少なくない。しかもその決定が履行されるかも不透明だ。

近年では、公明党や共産党のように、もともと一体性の強い組織が影響力のある政党を設立することは見られない。多くの場合、国会議員の離合集散で新しい政党が作られている。そのような政党は、十分なまとまりがないままに地方組織の形成という困難に直面することになる。

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