1歩でも半歩でもいい。前に進みたい。
その先にある可能性を信じて。

この仕事が好きだ。ためらいなくそう言える。だからこそ、仕事にも自分にも真摯に向き合い、どんなときでも前に進もうとする。そういう生き方が好きだと、今、自信を持って言える。

作家と一緒に作品をつくりあげる醍醐味を実感

花田 健太朗さん
2012年 映像学部卒業
スクウェア・エニックス
出版ビジネス・ディビジョン
コミック編集部
ガンガン編集

マンガの編集者というと、作家の家へ行き、原稿が出来上がるのを待つ、というイメージを想起するかもしれない。だが、「少年ガンガン」の編集者である花田健太朗さんの場合、作家の自宅に行くことはほとんどない。デジタル化の波により、今はマンガもデータで入稿するのが当たり前になっているからだ。おかげで今は北海道から沖縄まで、全国の作家を担当することができる。

「作家さんの自宅に行くのは、よほどの緊急事態のときくらいです」。そういって花田さんは苦笑する。

ただ、編集者と作家の人間関係が大事である点は、デジタル化された今も変わっていない。作家がスランプに陥ったときは、編集者が励まし、立ち直らせるし、作家が作品以外のことで編集者に相談事を持ちかけることもある。

そういう作家と編集者の関係を、花田さんは「恋愛関係に近いところがある」と指摘する。

「自信を持たせるためにほめたりもしますし、逆に厳しいことをいう場合もあります。精神的なケアをしながら信頼関係を築き、絆を深めていくことが必要なのです」

編集の実務は先輩から教えられることも多いが、こうしたケアの仕方は体験を重ね、自分で模索していくしかない。そうして編集者は、作品を評価する目とともに、人間を見る目も養っていく。

面白いものをつくるための苦労は苦にならない

一方では新人を発掘するのも編集者の仕事。そのため同人誌の即売会場に「出張編集部」を設け、持ち込み原稿を見たりもする。ツイッターなどからヒット作が生まれることもあるので、SNSもよく見る。最近は連載中の作品や単行本プロモーションにSNSを活用することもある。

実は花田さん、大学時代には映像学部で映画制作について学んだ。また卒業後は広告代理店に勤めてもいた。その経験が今、生きているという。

「大学時代には脚本も書きましたし、監督として映画もつくりました。広告代理店にいたときは、プロモーションやマーケティングを実体験として学びました。WEBマンガの台頭による『マンガ飽和時代』では、如何に作品を見つけてもらうかが大切です。創作と販促の両面を経験してきたことが僕の編集者としての強みです」

編集者としての当面の目標は、ヒット作を出し、アニメ化させること。業界では単行本が10万部売れればヒットと言われるが、ハードルは高い。そのハードルを越えるため、マンガはもちろん雑誌やテレビ、SNS、さらにはお笑いやファッションなどさまざまな分野にアンテナを張っている。

「深夜まで仕事をすることも、休日に打ち合わせをすることもあります。でも、面白いものをつくるための苦労だから全然苦になりません」

編集者になって4年目、充実を体感する毎日である。

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