希望の党、イケメン共同代表・玉木氏の前途 「小池の傀儡か小池離れか、それが問題だ」

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その民進党代表選での蓮舫氏、前原氏との三つ巴の戦いの際、3候補揃い踏みの地方演説会で感極まって落涙し、蓮舫氏から「男なら泣くな」とたしなめられた過去もある。政策や政治理念では「自民党そのもの」とみえる小池代表との共通項も多く、共同代表選後の記者会見でも「できるだけ早く(小池氏と)会って、コミュニケーションを深めていきたい」と語り、都政に専念する小池氏も「若い48歳の玉木氏が代表に決まってよかった。みんなでしっかりフォローしてもらいたい」と息子を見守るような笑顔でコメントした。

ただ、「さわやかさが売り物の玉木氏では、女勝負師と呼ばれるしたたかな小池氏にとても対抗できない」(希望幹部)との声も多く、国政の指揮官となる共同代表として「いかに"小池離れ"をアピールできるか」(同)が当面の課題であることは間違いない。

今後の特別国会での与野党論戦の目玉ともなる「加計学園疑惑」に絡む愛媛県今治市の同学園獣医学部新設問題で文科省の大学設置審議会が9日付けで、「認可が適当」とする答申を林芳正文科相に提出した。来週早々にも政府としての正式認可が決まり、国会での文部科学委員会の集中審議も実施される。隣県の香川を選挙区とする玉木氏は獣医師連盟から献金を受けていたこともあるだけに、首相攻撃も含めて、さっそく国会運営での手腕や力量も問われることになる。

「アウフヘーベン」で結束を保てるのか?

9日に発表された今年の流行語大賞候補(30)の中に政治絡みでは「忖度」「ち~が~う~だ~ろ~」と並んで「アウフヘーベン」がリストアップされたが、なぜか今回衆院選の最大のキーワードだった「排除」は外された。どちらも小池氏の発した言葉で、「アウフヘーベン」は希望の党の結党会見で飛び出し、永田町に「???」の渦を広げた経緯もある。本来の意味は「あるものを否定しつつも、より高次の統一の段階で生かし、保存すること」とされる。

識者が「コッペパンと焼きそばの合体が、すっかり定番となった焼きそばパン」と例えるように、小池氏の「勘と度胸」と玉木氏の「理論と弁舌」を「アウフヘーベン」すれば政権交代も夢ではないということにもなるが、その前に「排除」で亀裂が生じた希望の党の「結束を保てるかどうか」が小池・玉木新体制の直面する難題となりそうだ。

    

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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