事業そのものが社会貢献であるべき CSRこそ企業の存在理由

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岩田 利益を上げながら人に満足や感動を与える商品やサービスを提供すること。そして、その数を増やしていくことです。だからこそ、新製品や店舗を増やしたり、サービスの質を向上させたりしなければならないのです。そうやってより多くの人々により深い感動を与えていれば、ミッションはより達成できたと言える。それを継続発展するために利益も上げ続けないといけないのです。経営者はここのところをきちんと理解をしなければなりません。企業の目的はお金儲けではないのです。

―経営者が従業員にもっとそうした意識を促すべきだと。

岩田 事業そのものがCSRであることを従業員の方たちが納得していることが重要です。世の中で立派と言われている経営者ほど、従業員にきちんと自分たちの事業は世のため、人のためだというミッションを語っています。CSRとは決して事業の免罪符ではないのです。

―CSRは横並びで嫌々やるものではないと。

岩田 企業の役割とは、「消費者を豊かにする商品やサービスを提供する」「雇用を守る」「税金を払う」ことであり、これを総称して本来CSRと呼ぶべきだと思います。これは利益を出してこそ、実現することができるのです。

―そうしたCSRを企業が進めることで何が生まれるのでしょうか。

岩田 ブランドです。私はミッションとブランドは表裏の関係にあると思っています。ミッションは内なる約束であり、ブランドは外部の人がどう見ているのかという評価です。本来自分たちのミッションを愚直に実行した結果にじみ出て、ブランドになって行くべきものだと考えています。今、消費者に支持されている多くの企業は、ミッションとブランドが合致しています。ミッション自体が良くても、ブランドとして評価されていないということは、従業員にミッションがきちんと浸透していない証拠なのです。ブランドをつくることは、単に広告やイメージを宣伝することではありません。人に感動を与え続ける仕事=CSRを続けることで、結果としてブランドをつくることができるのです。

―欧米企業は日系と比較するとブランド構築がうまいですね。

岩田 意外な感じがしますが、エクセレントカンパニーとして永続している外資系企業はミッションや価値観をとても大切にしています。

―ミッションを企業に浸透させるためには、どうすればいいのでしょうか。

岩田 トップが従業員に対し、繰り返し繰り返し語り続けること。そして、従業員の評価につなげることです。その究極が誰を次の社長に選ぶかです。西郷隆盛は「功ある者には禄を、徳ある者には地位を」と言う主旨のことを言いました。実績をあげた人にはボーナスなど金銭的に報い、ミッション、価値観を体現している人には地位を与えることが大切なのです。

―最終的には従業員の方々が、自分たちの商品やサービスを通じて社会貢献していると実感していることが大事なのですね。

岩田 私は本業以外の社会貢献活動を決して否定しているわけではありません。でも自分達の事業そのものが世の中の役に立っていて、社会貢献活動そのものだという意識を社員に持ってもらうことが大切だと思っています。

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