46歳「コスチューム作り」で生きる女の稼ぎ方 高円寺の名店を18年であっさり閉じた理由

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在りし日の店舗(写真:すまきゅーさん提供)

大家からは、「もし移転するなら引っ越し代は出すし、再建築後に続けてもよい」と言われたのだが、この際もうやめてしまおうと思った。

「仕事を縫い物だけにしたらハゲは治るんじゃないかな、と思ってたんですけど、本当に治りました(笑)」

そうしてCHOCOLATE CHIWAWAは今年(2017年)の6月15日、オープンからちょうど18年で閉店した。

サブカル好きの人たちが集まるにぎやかなお店だっただけに、SNS上では惜しむ声も上がっていた。実店舗がなくなったとき、すまきゅーさんはどう感じたのだろうか?

「いやあ、そう思っていただけるのはありがたいんですけど……。正直、個人的には寂しいとかは全然ないんですよね。

長く続いた店が終わるとき『これまでどうもありがとう!!』とか感動的にSNSに載せる人いますけど、私は別にそういうのいいかな~って、特に何もなくささっと店じまいしちゃいました」

すまきゅーさんは、店舗に関してはクールな考え方をしていた。

そもそも、高円寺に居を構えていたのも、「古着屋といえば高円寺」という理由からであり、お店を辞めたら高円寺に居続ける意味はなくなった。

「高円寺という街にも特に思い入れはないんですよ。私は本当はもっと落ち着いた一軒家が並ぶ住宅街のほうが好きなんです。新しい作業場は布の問屋街の近くにしました。依頼が来たら、すぐに材料を買いに行けるから合理的なんですよ」

現在CHOCOLATE CHIWAWAは、実店舗ではなく、コスチュームを受注生産する会社の屋号になっている。

「仕事と遊びの区別がないんです」

相変わらずの忙しさで、まだ引っ越しの荷物の整理すらできていないが、実店舗がなくなった分、少しだけ余裕ができた。

最近は時間を見つけては、交通量調査や、分譲マンションの駐輪場の案内などの、派遣型のアルバイトに足しげく通っているという。

「私は仕事と遊びの区別がないんですよね。毎日遊んで暮らしてるけど、毎日仕事してるっていう感じなんです。服を作っているのも、アルバイトしてるのもどちらも楽しいですね。

昔から時間の経つのがとても早く感じるたちで、これまでの46年あっと言う間だったなって印象です。だからこの後もあっという間に過ぎていくんだろうから、やりたいことは何でもやっておかないと!!って思って暮らしています」

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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