明治大「手厚すぎる」就活支援はここまでやる 「就職の明治」8年連続トップの秘密

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実は学生には戸惑いがあった。スマホ世代は、知らない人に電話をする経験が少ないのだ。だから、OB訪問のための電話のかけ方から教えることにした。講師は滝氏自身が務めた。こんなふうに、職員が発案し、自分が講師を務めるものも多い。小林氏は言う。

「おカネもかかりませんし、職員の研鑽にもなります。毎年毎年、職員がいろいろな学生の動きを考えて、新たに企画したり、同じ業界研究でも、自分がファシリテーターをやってみたり。職員が手作りで行事をつくっている、というのが明治大学の特徴です」

相談担当の机には必ずティッシュが一箱

そして明治大学の就職支援のもう1つの特徴は、職員自らが学生のキャリアカウンセリングを担うことである。相談に来た学生に職員が応対する。明治大学には、駿河台、生田、和泉、中野キャンパスがあるが、それぞれに職員がいて、総勢31人規模になる。小林氏はいう。

「キャリアカウンセラーの資格を持っている職員が少なくありません。人事異動で配属された職員は資格を取ってもらうようにしています。そのための予算も確保しています」

すべての学生の情報はパソコンで管理され、どのキャンパスでもその学生の相談履歴が見られる。相談カウンセラーが変わっても、学生のデータを見て対応ができるのだ。

驚くのは、このカウンセリングが徹底活用されていること。学生による就職相談は、4キャンパスで年間なんと約3万件にものぼる。1学年の学生数は約7500人なので、単純計算すると、1人当たり4回は相談に訪れていることになる。小林氏が言う。

「最も相談が多かったのは、3月。1カ月、駿河台キャンパスだけで2000人を超えていました。平日は100人以上が相談に来るような状況です。ピーク時は30人待ち、2時間待ち、ということもありました」

それでも学生が相談の順番を待つのは、有用性に気づいているからだ。滝氏が言う。

「3月の段階ですと、どうやって業界を決めていったらいいのか、エントリーシートを見てほしい、などが多いですね。エントリーシートはわれわれも添削します」

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