続々登場「乗り物運賃無料」企画は成功するか 10月の池上線に次ぎ11月は2カ所で開催

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イベント後に沿線住民の利用が増える効果はあったのだろうか。同社によると、「今春のダイヤ改正で列車増発による利便性向上を図っているため『無料の効果』とはっきり言えるかどうかはわからない」としつつも、定期券利用者数は増加傾向だという。同社は「継続的に行うことで効果が生まれるのではないかと思う」と、今後も運賃無料の「感謝祭」を続けていきたい意向だ。

地元商工関係者も、運賃無料イベントが地域ににぎわいを生む効果を評価する。2016年と今年の両方に協賛している地元の経済団体、平田商工会議所(出雲市)の担当者は「具体的にいくらの経済効果があったかまでは把握していないが、地域がにぎわうという点で効果は大きい。毎年開催するなど(運賃無料の日が)定例化すれば、同じ時期に地域でもイベントを開催するなど、地元もより一緒に盛り上げることができるのでは」と話す。

川崎ではバスの運賃無料も

一畑電車と同じ日には、川崎市東部や横浜市北部に路線網を広げる川崎鶴見臨港バスも、創立80周年を記念した「運賃無料デー」を行う。近隣を走る東急池上線より1カ月ほど後の実施となったが、同線の企画とは関係なく「今年度の初めから準備を進めてきた」(臨港バス総務課)。バス会社として初の試みかどうかははっきりわからないものの「珍しい取り組みであることは間違いない」という。

無料となるのは川崎・横浜市内の均一運賃区間を走る路線。一部対象外もあるが、ほとんどの路線が終日乗り放題となる。川崎市の統計書によると、同市内を走る臨港バスの1日平均乗車人員は約9万人(2015年)。定期券利用者もいるとはいえ、丸1日運賃収入がなくなることになるが「それだけお客様への感謝の気持ちを表したいということ」(同社)であるとともに、やはり「日頃乗らない人にバスを知ってもらう機会」とすることもポイントだ。沿線の見どころなどをまとめたガイドブックも作成し、「バスで出掛ける楽しみ」をPRする。

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