BMW「X3」、乗ってわかった最新進化の実力 3代目に刷新したSUVは何がスゴいのか

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その外装とは打って変わって、内装は大幅にわかりやすく変更した。イメージとしては「5シリーズ」にも準ずる質感を含めた仕上げになっており、スーツ姿での使用にもとても“ハマる”車格に成長した。なぜ5シリーズに準ずるような進化を遂げられたのか。冒頭にも述べた乗り味に触れていくと理解しやすい。

内装は「5シリーズ」にも準ずる質感を含めた仕上がりになっている(写真はBMWのサイトより)

そもそもX3のようなラフロードも走れるモデルは、最低地上高の確保のために車高が高くなる一方、重心が高くなりカーブや路面の凸凹の通過でクルマが揺れやすい。しかもボディも大きな箱になるので、発生した振動が共振しやすく、乗り味の質や操作性ではセダンに敵わないとされてきた。

ところが新型X3は、振動コントロールが的確にできており、その定説の中で判断しないほうがよい。ハンドル操作に対するダイレクト感や剛性感があるのに、適度なしなやかさや「いなし効果」を同時に備え、内装同様にこれまた5シリーズにも準ずるような高級な乗り味が備わっていた。

高級な乗り心地を実現できた理由

その要因としてシャーシの共有を挙げたい。いまBMWの最新シャーシ構成は、FR系とFF系の2系統のみ。その新世代FR系シャーシはモデルチェンジに応じて順次導入されており、今はまだ7シリーズと5シリーズそして今回のX3と6シリーズGTにしか使われていない。もちろん、シャーシに「載る」ボディ形状は異なるし、ホイールベースの長さなどはモデルごとに専用に調整されて使われているが、基本の骨格構成が共通なのでX3の乗り味の質が7シリーズや5シリーズにどことなく似てきたわけだ。

タイヤが滑りそうになったときには自動で制御が入る(写真はBMWのサイトより)

これは電子系のプラットフォームにも当てはまる。だからこそ新型X3の運転支援機能による半自動運転能力は、5シリーズや7シリーズに準ずる高機能なものだが、もう1つ注目はタイヤが滑りそうになったときの制御。冬季路面などでタイヤが滑りそうになったとき、エンジン出力が絞られ、ブレーキが掛かるなどの制御が入るが、表示を見ない限り気がつかないほど自然であり滑らかだ。

結果として荒れた山岳路を豪快に走れるのは当然として、従来モデルのように制御が突然介入して無駄にクルマが前後方向にギクシャク動きハンドリングも安定しなくなるなどの現象がないので、気持ちよく走れる。安全や安心のための制御が、快適性や操作性と共存しだしたわけだが、それも紐解けば制御を洗練させて無駄に車体が揺れることを防いだ結果でもあり、やはりキーワードは振動だ。

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