人生100年時代も「不健康期間」は長いままだ 平均で男性9年、女性は12年健康に支障がある

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また、健康上の問題で日常生活に影響がある割合を年齢別にみた場合、2004年と2016年を比較すると60歳未満の現役世代では、ほぼ横ばいで推移しているのに対し、60歳以上の高齢者では継続的に改善していた。

たとえば2016年の65~69歳は2004年の60~64歳と同水準となるなど、65~79歳では、この12年間で5歳分程度、若返っているといえそうだ。

また、日常生活に影響がある割合の男女差は、70歳未満の世代では近年大きな変化はない。しかし、70~79歳では、女性の改善が著しく、男女差は縮小している。一方で、80歳以上では逆に男性の改善が大きかったため、男女差が広がっていた。

「健康寿命」を延ばすには

健康寿命は、都道府県による健康格差を縮小するためや、保健医療に関する取り組みの計画や評価を行うために導入した指標であり、同じ条件で計算しているため諸外国や都道府県間、時系列で比較するのに適している

日本では、国民の健康寿命を2020年までに 2010年の値から1歳以上、2025年までに2歳以上延ばすことを目標としている。今回の結果で2020年までの目標はクリアする見通しだ。

男性で約9年、女性で約12年という不健康期間は決して短くはない。ただ近年、高齢者の健康上の問題で日常生活に影響がある割合は改善しており、今後の不健康期間の男女差の縮小や健康寿命の延伸に期待がもてる。

懸念を1つ挙げるとすれば、現役世代(60歳未満)の「日常生活に影響がある」割合にほとんど改善がみられないことだろう。健康寿命というと、高齢者の問題だととらえがちであるが、延伸のためには若い頃からの健康改善も重要となる。

村松 容子 ニッセイ基礎研究所保険研究部 准主任研究員

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むらまつ ようこ / Yoko Muramatsu

死亡・疾病発生リスクについて、統計的にその発生状況を算定すること、および、消費者調査を通じて消費者がどのようにリスクに対応するのかを研究。国が公表している疾病統計以外にレセプトデータ、健診データ、健康に関する消費者の意識調査などを使ってさまざまな視点から分析している。ニッセイ基礎研究所の著者ページはこちら

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