不確実な時代を賢く生き抜く資産運用の未来 世界の投資家がプラチナ・金に注目するこれだけの理由

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米国の行方、英国のEU離脱、北朝鮮リスクなど不透明さを増す国際情勢を受け、プラチナや金などの貴金属資産への投資に対する注目が世界で高まっている。その最新動向や投資手法について考察する「Platinum&Goldカンファレンス」が10月、東京・中央区で開かれ、個人投資家ら約200人が詰めかけた。
主催:東洋経済新報社/協賛:三菱UFJ信託銀行

【基調講演Ⅰ】
どうなるトランプ・北朝鮮、貴金属市場への影響は?

豊島逸夫
豊島&アソシエイツ代表
マーケット・アナリスト

ワールド ゴールド カウンシル日本代表などを歴任したマーケット・アナリストの豊島逸夫氏は、現在のマクロ経済状況を解説。米国では、金融緩和終了、法人等の減税に向けて、短期的にはドル高、株高傾向。欧州も量的緩和縮小への動きからユーロ高を予想した。一方、日本は量的質的緩和を継続するので、北朝鮮リスクなどで円高に振れることはあっても、円安ドル高の基調は当面、変わらないとの見方を示した。

こうした短期的状況から、金について「年内は弱気」としたが、米金利は引き上げられても、歴史的な低金利状態に変わりはなく、金、プラチナに資金が流入する状況は変わらないと指摘。金を好む中国、インドなどの人々の現物需要も下値を支え、金の産出量が頭打ちで供給も限定されることから「長期的には強気」と述べた。また、有事資産としての金については「メディアが有事の金と騒ぐ時は、プロはすでに買った金の売り時を探っている。金は平時に買うもの」と注意を促した。金より安くなったプラチナについては、金のように外貨準備や有事の資産の面はないものの、金より約20倍も希少なうえ、南アフリカの鉱山の生産不安や、空売りを買い戻す動きも重なるとみられ「この1年は金より強気」と予想。最後に「金とプラチナの両方を持つことがリスク分散の観点からも大事ではないか」とまとめた。

【来日講演】
プラチナ市場の見通し―改善しつつあるファンダメンタルズとマクロ要因

マーカス・グラブ
World Platinum Investment Council
市場開拓担当ディレクター

プラチナの投資市場発展のため、市場のリサーチや投資家の開発を行うWPICのマーカス・グラブ氏は「(プラチナは)王にふさわしい唯一の金属である」というルイ14世の言葉を引用。プラチナは金より価格が高い状態が続いていたが、両者の価格が逆転している現状を踏まえながら、希少性、産業有用性に優るプラチナの魅力をアピールした。

プラチナ需要(2016年)は、宝飾品31%のほか、ディーゼル自動車の排ガス浄化触媒42%、化学、医療、エレクトロニクスなど工業用が21%と、産業用が6割以上を占める。(2017年10月 SFA(オックスフォード)、WPIC調べ)現在は、ディーゼル車が欧州でシェアを下げ、電気自動車(EV)シフトによる需要減の懸念がプラチナの安値に影響していると分析。しかし、大型車のEV実用化はまだ時間がかかり、小型車もハイブリッド車などへのシフトにとどまると見て、ディーゼルのプラチナ需要は続くと予想。今後の排ガス規制強化で、触媒のプラチナ使用が増える可能性も示した。産業用は低調だが、宝飾品需要は中国の不振をインド、日本、北米の需要拡大で補って横ばいにとどめたことから、今後の需要回復に期待。一方、生産の7割が集中する南アフリカ鉱山の生産量は減少傾向で、供給過剰のおそれはなく、需給バランスは保たれていると強調して「プラチナが割安な今、長期投資を考える投資家に注目してほしい」と語った。

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