再生機構解散から1年半、支援先企業の「再生」は道半ば

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 「土砂降りが続く山陰地方を象徴するような倒産だ」。信用調査会社の担当者がこう評するのが、昨夏破綻したアメックス協販のケースだ。再生機構の支援を受け、約33億円の金融支援(DES、債権放棄)を受けた。しかし、和風瓦にこだわり、近年主流の洋風瓦への対応が遅れた。焼成用のLPG高騰に加え、「住宅着工の長期低迷やほかの屋根材との競合激化で、製造業者の倒産が相次いでいる」(業界関係者)。

再生機構の支援対象になったのは、アメックスグループの13社だが、中には債務超過でない会社もあったという。「グループ全体で残すほうが再生しやすい、というのが当時の判断だったと聞いている」(島根県担当者)。県は国(当時)と合わせ13億円強の債権を保有していたが、再生機構に約4億円で売却した。仮に会社清算ならこの4億円も回収できなかっただろうが、2年半後の自己破産。皮肉な結果となった。

全国的に破綻する会社が相次ぐバス業界(下表)。再生機構の支援先企業のうち、バス事業を経営する会社は3社あった。このうち、国内系の再生ファンド「ジェイ・ウィルパートナーズ」傘下で経営再建中なのが、栃木県内の乗合バスでシェア7割を誇る関東自動車だ。

足利銀行出身の同社執行役員、石原玲一氏は「現状は燃料費の高騰が大きく、その分利益を圧迫している」と表情を曇らせる。再生機構入り後、過去3期連続で黒字を計上してきたが、再生機構の支援を受けた04年11月時と比べ、燃料費は倍近くにハネ上がっている。

燃料費高騰に耐えきれず、10月から宇都宮市中心部を走る乗合バスの初乗り運賃100円を150円に引き上げる。「それでも燃料費上昇の一部しかカバーできず、乗客数がどのくらい減るのかも読めない」(石原氏)。ジェイ・ウィルは関東自以外に、札幌や神戸など全国のバス会社7社を傘下に収めている。いずれは株式上場を狙っているとされるが、原油高騰は投資ファンドの戦略にも暗い影を落としている。

もちろん、再生機構の支援先企業の中には、早々とエグジットを決めた企業もある。 

 

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