日本のメディアが見逃した「トランプの幸運」 アジア歴訪のタイミングで追い風が吹いた

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その人物の名はトニー・ポデスタ氏という。弟のジョン・ポデスタ氏とともに首都ワシントンの顔役であり、ビル・クリントン元大統領、バラク・オバマ前大統領、ヒラリー・クリントン元国務長官と深く結び付いている。

弟のジョン・ポデスタ氏はビル・クリントン元大統領の首席補佐官、オバマ前大統領の顧問を務めた。昨年の大統領選では、ヒラリー・クリントン民主党候補の選対責任者を務め、トランプ陣営のマナフォート氏とは対立関係にあった。

その超大物のジョン・ポデスタ氏と兄のトニー・ポデスタ氏とは一心同体の仲であり、その兄がウクライナ疑惑をめぐって、ミュラー特別検察官の捜査線上にその名が浮上し、訴追の可能性もあるというのだ。このニュースは民主党にとって、まるで地球が揺れているような超弩級の衝撃として受け止められている。

ミュラー特別検察官に「ロシア疑惑」が飛び火

それはワシントンのクラブ社会にどっぷり浸かった議会民主党の屋台骨を揺さぶっているだけではない。「オバマ政権時代のロシア疑惑」報道で、当時、FBI長官だったミュラー氏について、特別検察官として絶対的必要条件とされる「中立性」に疑問があると、厳しく批判され始めていることだ。これは見逃すことができない。

その「オバマ政権時代のロシア疑惑」とは何だったのか。当時、カナダ企業がロシアにウラニウムを売却する計画が持ち上がった。それは当時の米国のウラニウム蓄積量の20%に当たり、米当局の許可を必要としていた。その取引自体、米国の国益に矛盾する可能性も指摘されていた。

当時、国務長官だったヒラリー・クリントン氏の許可も絶対的必要条件の1つだったが、同氏はその許可を与えた。ところが、実は、ロシアとカナダの取引には巨額の賄賂問題が指摘され、その証拠がFBIに蓄積されていたにもかかわらず、当時、FBI長官だったミュラー氏は、何のアクションもとらなかったと報道されているのだ。米メディアの中には、クリントン財団とロシアとの癒着疑惑を報じるところもあり、現在、大きな問題になっている。

ヒラリー・クリントン氏はその疑惑を全面否定している。ただ、クリントン財団については、「財団にあってはならないような、多くの内部システムの不適切な不透明さなどが、ニューヨークの名門法律事務所によって調査・分析された」と報じられている。

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