40代の”成功”と”失敗”を分かつもの グローバルエリート特別対談 with 城繁幸(その1)

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おやじはやっぱり強い

それから労働市場においていちばん価値の低い人は、前の会社の悪口を言う人なんですよ。会社の内部事情を知っているだけに、転職先でいろんなことをベラベラしゃべるような人は最初から採用できない。だから、「私はそういうことをしない人間である」という証明のために、ある人はウソでもいいから「前の会社はすばらしい会社でしたよ」と言う。それがこの業界で生き残るための保身にもなる。だからまあ、見せかけの愛社精神みたいなものもあるかもしれない。ちなみに念のため言っときますが、私の前職はすべて、すばらしい会社で、私は感謝してもしきれません。

:そういえばゴールドマン・サックスの従業員が、「世界初のゴールドマン労組を作る」といって、全員マスクとフードで完全に顔を隠して記者会見をしたことがありましたね。

ムーギー:要するに顔が出ると、この業界にいられなくなるから。ただ、マスク姿で出てきても、誰も本気にしない(笑)。

:本人たちはまじめに訴えてるんだけど、笑ったな。

ムーギー:新日や全日を見ていていると、本当に古株のレスラーがずっといるじゃないですか。片やアメリカのWWEを見ると、つねに新しいレスラーが入れ代わり立ち代わりでしょう。やっぱり日本の場合は、雇用の継続について温情が支配していると感じます。

:新日が最初に潰れたときって、すごく批判されたんですよ。プロレスメディアとかスポーツメディアを見ると、新日はいかに駄目だったかという話一色だった。でも僕はそのとき、新日がいちばん進んでいると思ったのです。だって今までのスタイルを全部否定して、若手の選手を登用したわけだから。それが原因で一度潰れてしまうわけですが。でもそれが今生きてきて、新しい選手が両国国技館を満員にするぐらいになっている。やっぱり新陳代謝って必要なんですよ。

ムーギー:そうですよね。となると、40歳の人へのメッセージとしては、繰り返しになって恐縮だけれども、本当にクビになるのが当たり前なのだから、「クビになったらどうしよう」じゃなくて、クビになるのを前提にキャリアプランニングするか、もしくは、働いている間にクビになっても大丈夫なようなセーフティネットを自分で作れということですね。城さんに聞くはずが、自分で言っちゃった。城さんがこれから40歳になるサラリーマンの皆さんにキャリアアドバイスをなさるとすれば、どういうことが言えますか。

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