経済効果150兆円!?五輪がもたらす光と影 経済再興への期待の裏側で懸念も膨らむ

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状況は一変する可能性

しかし、五輪開催をきっかけにして、こうした状況が一変するかもしれない。湾岸エリアには、競技会場のほかにも選手村やメディアセンターが置かれる計画だ。輸送力の確保は避けて通れない問題であり、それだけに優先的に国や都の予算が投下されるという見方は強い。開発を担当する東京都港湾局は「五輪を契機に、開発の総仕上げにかかる」と意気込む。

すでに道路では、15年度に首都高速10号線の晴海─豊洲間が、また16年に環状2号線の新豊洲─虎ノ門区間が開通する予定。銀座と晴海の間には、中央区が中心となってバス高速輸送システム(BRT)の開設を計画している。また鉄道では、東京メトロ有楽町線を豊洲から江東区住吉まで延伸し、同半蔵門線と接続させる構想が浮上している。

湾岸エリアで整備が進みそうなのは、交通インフラだけではない。東京都は青海北地区を国際会議場やホテル、エンターテインメント施設が集積する複合型MICE拠点に設定。関連法案が可決されれば、カジノを含めた統合型リゾートの開設も視野に入る。五輪開催による外国人観光客の増加を当て込んだ、新規の観光事業にも追い風が吹きそうだ。

みずほ証券の石澤卓志チーフ不動産アナリストは「今後は湾岸エリアのポテンシャルが顕在化していきそうだ」と分析する。そのうえで、現在は1坪当たり250万円前後という豊洲周辺の新築マンション価格は、4~5年のうちに同300万円までハネ上がる、とそろばんをはじく。

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