忙しすぎる日本人が知らない深く考え抜く力 たくさんの解き方を意識して重ねよう

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効率が重視される世の中だからこそ、振り返って考えたい(写真:tomos / PIXTA)
とにかく「スピードが正義」とされる現代社会、私たち自身も知らぬ間に「速いことこそよいことだ」と思い込んではいないだろうか?
どれだけ速く決断を下せるか、どうすれば仕事を効率よく回せるか。しかし、効率化の陰で思考力の低下が問題となっており、「考えるのが苦手」という人は多い。
そんな時代だからこそ正しく考えることが重要だ。『京大式DEEP THINKING』の著者、川上浩司氏が、深く考えること、考え抜ける体質になるにはどうすればいいのかを解説する。

私は「不便益」について研究している。字のごとく、「不便だからこそ得られる益」。「便利を無批判に追究したために失った益を再考しよう」という信念のもと、「素数ものさし」(目盛りが素数のみの定規)や「かすれるナビ」(通った道がかすれていくカーナビ)などを開発している。

「もっと便利に、もっと速く」という世の中の潮流に飲み込まれないためにも、私自身、目の前の現象を無批判に受け止めるのではなく、その裏に隠されたメッセージを見つけようと「思考」することを心掛けている。

それに、ビジネススキルとして思考の省略を促す「仕組み化」が推奨されているが、「考えなければいけない」という不便によって生まれる益こそこれからのAI時代に必要なスキルであり、その益こそが「考え抜く力の向上」だ。

「考える」と「深く考える」の決定的な差異とは?

「考えるのは苦手」という人も多いと思うが、われわれは「考える」こと自体は日々繰り返し行っている。

では、「考える」と「深く考える」には具体的にどのような違いがあるのだろうか? この違いには、単に「どれくらい時間をかけたのか」以上の差異があることを最初にお断りしたい。

私は、「考える」という営みは「recognition=認識」と解釈している。

つまり、「目の前のものは、すでに自分の中にある概念と同じだ」と認識・確認する作業が、一般に私たちがいつもしている「考える」作業のほとんどなのだ。

次ページ「cognition」という思考を深める明確な指針
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