「言論の自由」を抑圧し続ける習近平氏の末路 なぜそんな賭けに打って出るのか

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1970年代後半から1980年代後半までの経済社会改革を担当していた鄧小平氏に認められ、ある程度自由にやってきた新聞やテレビ番組は、過去5年間でほとんどすべての自由を失ってしまった。

ジャーナリストは、宣伝部(以前のプロパガンダ部門)が明確に許可していない調査を、もはや行うことはできなくなった。 たいてい調査が許可されるものは、党が撲滅しようとした者の事件を調査することだけである。

広州の南方都市報や南方週末のような最も冒険的な新聞は、2013年に姿を消した。南方週末の元編集者は、広東省における新たな党宣伝部長の任命は、広東省の報道が、鄧小平氏の1970年代後半の解放改革政策の開始以来、最も「暗い」時代に後退したことを意味する、と書いた。

38人のジャーナリストが刑務所に

もっとも、それはほんの始まりだった。中国の国営テレビ局CCTVは、すべての調査分析的番組をやめるか、トーンダウンした。以前、やりすぎとみなされた場合、解雇だけで済んでいたジャーナリストたちは、再び収監された。

ジャーナリスト保護委員会によると、2016年には38人のジャーナリストが刑務所に収容されている(これはトルコに次いで世界で2番目に多い数だ)。外国のニュースメディアの記者たちも、ビザを取得するのがより難しく、調査報告をするのがより難しくなったと感じている。

が、習氏らにとって最大の脅威はソーシャルメディアである。これらは、皮肉なことにジャーナリズムが再び規制されるようになったことで、より人気を集めている。SNS投稿はしばしば(体制に)批判的だ。

ある匿名の著者はある外交誌に「中国の新しいソーシャルメディアをざっと見ただけで、公務員が人民に奉仕せずに、巻き上げているように見られていることが明らかになった」と書いている。このような公的なコメントは中国では許されていなかった。

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