宮崎駿と”経済”

ファンタジーとリアリティの狭間で

引退会見での宮崎駿監督

数年前、スタジオジブリの広報担当者に、宮崎駿監督は『週刊東洋経済』のインタビューを受けてくれるかどうか、聞いてみたことがある。そのときは、「仮に経済がテーマだと、宮崎監督はお話したがらないかもしれませんね」という答えが返ってきた。

宮崎監督は決して経済が嫌いとうわけではないと思う。『ルパン三世カリオストロの城』では、舞台となるカリオストロ公国の経済状態についてきちんと設定がされているし、『風の谷のナウシカ』にしても経済の知識なしにあのような世界観は構築できないだろう。

近作の『ハウルの動く城』や『崖の上のポニョ』といったファンタジー色の濃い作品では、作品の世界観に経済が深くかかわっていなかった。だが、最新作の『風立ちぬ』は、ここで指摘するまでもなく、戦前の経済情勢について綿密に描いている。

映画を見た後に、雑誌のインタビューを読んでいて納得がいった。宮崎監督は、大学生のときに財政学の講義で「戦争経済がどれほど国民経済を破壊するか」について学び、そして「経済とか社会とかいろんなものを抜きにして飛行機を語るのはくだらない」(『Cut』9月号)ことに気づいたという。僕が宮崎監督にぜひ聞きたいと思っていたのが、この言葉だった。

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