半沢直樹が、島耕作に化けるための条件 「倍返し男」は出世できるのか?

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営業課長として部下からの信頼は高いのですが、何かと会社の批判を口にすることが会社のキーマンのお目がねから外れる要因になったようです。会社での昇進は、管理職になるくらいまでは目先の業績で決まりますが、そこから先はキーマン次第というのが現実です。

ゴマをするべき、と言いたいのではありません。重要なのは、キーマンから見て「人の上に立つ人材」とか「わが社の幹部にふさわしい」と思われるかどうかです。島耕作も、世間で抜擢されていく人も、こうした「お目がね」にかなったから引き上げられ出世していくのです。なので、出世したいなら、キーマンの「お目がね」の基準を理解して仕事をするのも大切かもしれません。

ちなみに島耕作の仕事ぶりはどうだったのか? 当初、課長時代は出世が遅れぎみであったのに、部長になってから急激に出世街道を驀進します。そんな出世街道に乗れた理由を分析した「島耕作に学ぶ出世の秘訣」というサイトがあるのですが、そこで当方が注目した出世するためのポイントを3つ紹介します。それは、

・出向や異動を打診されたら、よく考えたうえでイエスと返答
 ・当初の方針とは違っても、目的達成のためなら迷わず方針を変換する
 ・自分の考えに固執せず、郷に入りては郷に従う

要は「柔軟性があり変化に強く、いかなる状況にも対応ができそう」と思える仕事ぶりであることです。

いくら今の仕事で活躍していても、融通が利かない、ひとつのことに固執するのではダメだということではないでしょうか。まさに変化に強いことを示せることが、引き上げられる人材のキーワードなのかもしれません。

これまで取材してきたケースを振り返っても同じことが言えます。会社で管理職から役員へと順調に出世している人は変化に強く、柔軟に対応ができるタイプの人ばかりでした。さらに言えば、自己主張が強すぎず、周囲の意見を受け入れることができる。こうした人が出世していく傾向があるようです。

さて、一般的に出世する人は「やり手」でアクレッシブなイメージ。かなり実態と懸け離れていませんか?一方の半沢直樹はどうか。これからの出世レースにも注目していきたいものです。
 

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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